先頭固定
2025年1月
ラスト・ノート
#エイトリ
ペア研修TOXIC×NEIGHBORイベストおよび潜区長ノベルのネタバレSS。潜→フレデリク。
はじめに声を忘れるのだと言う。
人間の脳はそのようにできているらしい。
聴覚、視覚、触覚、味覚、そして嗅覚。その順番で人は誰かを忘れていく。
しかし、カフェの古びた蓄音機から流れてきた旋律に、潜は瞠目した。
彼の――フレデリクの奏でた音とはまるで違う「ポロネーズ第5番Op.44嬰へ短調」。その落差がはっきりとわかるのは、フレデリクのピアノを一欠片も忘れていないからだった。
幾たび季節を繰り返しても、こうして鮮明に思い出せる。
はじめに忘れるのが音ならば、今もその音を忘れられない自分は、彼のすべてを生涯忘れないのだろうか。
(いや……)
視界の隅で、絵筆を持った青年が軽薄に笑っている。けれど、潜の意識は遠い日のコンクール会場にあった。
フレデリクのピアノをはじめて聴いた場所。
潜にとって、フレデリクとは彼が奏でるピアノそのものだった。
彼の声、彼の微笑、彼の指、彼の舌先、彼の匂い。すべては音の波として押し寄せ、潜の魂を削いでいった。あの日からずっと、潜は五感のすべてでフレデリクを記憶している。その声が色褪せてしまったとしても、彼が奏でたポロネーズ第5番は、忘れ得ぬ残り香のように潜を包んでくれた。
(その心は、あなたの指と繋がっていた?)
問いかけに、答えは返らなくても。
「――潜さん?」
深く沈み込む意識が、わずかに引き戻される。
感情を映さない黒い双眸が探るように潜を見ている。興味はなくとも、弱味に繋がるものは知っておきたい性分なのだろう。そういう彼の抜け目のなさを理解しつつも、潜にとっては瑣末なことだった。剥き出しの心を覗き見られたところで、恥じる必要もない。フレデリクの音に削り取られていった傷痕は、潜を美しく彩っているだけだ。
(「脱いだ時喜ばれたほうがお互いテンション上がりますし?」)
ふと雨の車中で聴いた戯言を思い出す。
すべてが嘘だと潜が承知していることを察しているくせに、悪びれもなく軽やかに嘘をつく。温度の篭らない言葉は通りすぎる雨のように味気なく、その空虚さが気楽ではあった。
だからこそ提案に乗ってやった。
その思惑など知ったことではなかったが、添もそれなりに満足したようだった。
静寂の中で、フレデリクの音に浸っていてもよかったのだけれど、それはいつでもできることだと思い直した。
彼の音にはいつでも逢える。
煉獄の山の頂にフレデリクはいないが、彼の奏でるポロネーズがきっと鳴り響いていることだろう。
「それで、懐かしいのは治りました?」
帰国して寮に戻り、テラスで酒を飲んでいたら、ビール瓶とグラスを手に添がやってきた。旅の思い出を分かち合おうなどと思ってはいないだろう。ただ飲みたい気分だったのかもしれない。
グラスのビールを空にしてから、添が目を細めて笑った。どうやらワインは本当に苦手らしい。この良さがわからないなんて哀れなものだ。
潜は肩をすくめてみせた。
「さあ、どうだろうね」
風邪でも拗らせたかのように揶揄されても、そう不快ではない。本気で腹を探り合うほどの情熱が添にはなく、潜も添に興味がなかった。ただの社交辞令に目くじらを立てるほど狭量ではない。けれど、耳の奥に残る音の波のことを答えてやる義理もない。
真珠のように泡立ち、触れれば雪のように消えてしまう美しい旋律を真似て、彼の心をなぞろうとした夜。優しく微笑んでくれた緑の瞳。確かに触れた指先。舌を湿らすために煽ったシャンパンの味。雪に混じった彼の残り香。
世界に音が溢れている限り、潜は何度でもあの夜を思い出すだろう。
close
#エイトリ
ペア研修TOXIC×NEIGHBORイベストおよび潜区長ノベルのネタバレSS。潜→フレデリク。
はじめに声を忘れるのだと言う。
人間の脳はそのようにできているらしい。
聴覚、視覚、触覚、味覚、そして嗅覚。その順番で人は誰かを忘れていく。
しかし、カフェの古びた蓄音機から流れてきた旋律に、潜は瞠目した。
彼の――フレデリクの奏でた音とはまるで違う「ポロネーズ第5番Op.44嬰へ短調」。その落差がはっきりとわかるのは、フレデリクのピアノを一欠片も忘れていないからだった。
幾たび季節を繰り返しても、こうして鮮明に思い出せる。
はじめに忘れるのが音ならば、今もその音を忘れられない自分は、彼のすべてを生涯忘れないのだろうか。
(いや……)
視界の隅で、絵筆を持った青年が軽薄に笑っている。けれど、潜の意識は遠い日のコンクール会場にあった。
フレデリクのピアノをはじめて聴いた場所。
潜にとって、フレデリクとは彼が奏でるピアノそのものだった。
彼の声、彼の微笑、彼の指、彼の舌先、彼の匂い。すべては音の波として押し寄せ、潜の魂を削いでいった。あの日からずっと、潜は五感のすべてでフレデリクを記憶している。その声が色褪せてしまったとしても、彼が奏でたポロネーズ第5番は、忘れ得ぬ残り香のように潜を包んでくれた。
(その心は、あなたの指と繋がっていた?)
問いかけに、答えは返らなくても。
「――潜さん?」
深く沈み込む意識が、わずかに引き戻される。
感情を映さない黒い双眸が探るように潜を見ている。興味はなくとも、弱味に繋がるものは知っておきたい性分なのだろう。そういう彼の抜け目のなさを理解しつつも、潜にとっては瑣末なことだった。剥き出しの心を覗き見られたところで、恥じる必要もない。フレデリクの音に削り取られていった傷痕は、潜を美しく彩っているだけだ。
(「脱いだ時喜ばれたほうがお互いテンション上がりますし?」)
ふと雨の車中で聴いた戯言を思い出す。
すべてが嘘だと潜が承知していることを察しているくせに、悪びれもなく軽やかに嘘をつく。温度の篭らない言葉は通りすぎる雨のように味気なく、その空虚さが気楽ではあった。
だからこそ提案に乗ってやった。
その思惑など知ったことではなかったが、添もそれなりに満足したようだった。
静寂の中で、フレデリクの音に浸っていてもよかったのだけれど、それはいつでもできることだと思い直した。
彼の音にはいつでも逢える。
煉獄の山の頂にフレデリクはいないが、彼の奏でるポロネーズがきっと鳴り響いていることだろう。
「それで、懐かしいのは治りました?」
帰国して寮に戻り、テラスで酒を飲んでいたら、ビール瓶とグラスを手に添がやってきた。旅の思い出を分かち合おうなどと思ってはいないだろう。ただ飲みたい気分だったのかもしれない。
グラスのビールを空にしてから、添が目を細めて笑った。どうやらワインは本当に苦手らしい。この良さがわからないなんて哀れなものだ。
潜は肩をすくめてみせた。
「さあ、どうだろうね」
風邪でも拗らせたかのように揶揄されても、そう不快ではない。本気で腹を探り合うほどの情熱が添にはなく、潜も添に興味がなかった。ただの社交辞令に目くじらを立てるほど狭量ではない。けれど、耳の奥に残る音の波のことを答えてやる義理もない。
真珠のように泡立ち、触れれば雪のように消えてしまう美しい旋律を真似て、彼の心をなぞろうとした夜。優しく微笑んでくれた緑の瞳。確かに触れた指先。舌を湿らすために煽ったシャンパンの味。雪に混じった彼の残り香。
世界に音が溢れている限り、潜は何度でもあの夜を思い出すだろう。
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Scars of Love
2025.01.13ドゥトリ無配
AロマAセクの來人とゲイロマパンセクの潜という解釈の微妙〜な距離感のプリモSSです。
合意のないキスの描写あり
#エイトリ #來潜
1
ステージには熱気が渦巻いている。
降り注ぐスポットライト。
興奮冷めやらぬファンの歓声。
それらは海を焦がす残照のように、來人の眼に焼きついた。
ライブは終盤に差し掛かるほど盛り上がりを見せた。
情動をマイクに叩きつけるように歌う。
こうしてステージに立って、歌い、踊ることになるなんて、少し前まで想像もしていなかった。それを言うなら傷害罪で逮捕されることも、観光区長になることも、予想だにしない未来だったが。
先なんか見えないほうが、人生は面白い。
そんなことを口にすれば生行は露骨に嫌な顔をするだろうが、それは紛れもなく來人の本心だった。
幾成の歌声がマイクを通して会場に広がっていく。
透き通るような歌を奏でるのがアンドロイドだとは誰も気づかないだろう。
利き足を軸にして、ターンを決める。
こめかみに汗が伝う。
振付を覚えるのに苦労はしなかった。運動神経には自信があったし、組手の型を覚えるのと要領は同じだ。武術と違うのは、一人だけ先走ると不揃いで不恰好になってしまうことだろう。
他のメンバーと呼吸を合わせ、指先まで神経を研ぎ澄ます。自分以外の他人に合わせるために集中する。それだけのことが來人にとっては新鮮だった。
ファイトチームをまとめたり会社を経営する時は、他人の能力を見極めて適切に采配することが求められたが、ステージの上では來人も駒のひとつだ。
それが面白い。
來人は潜とペアになる振付が多かった。
潜は気まぐれな性格だ。そのうえ來人のことが気に食わないと言って何かと突っ掛かってくる。けれど完璧主義なところがあるせいか、練習も最低限は参加するし、なんだかんだきちんと合わせてくれる。根が真面目なのかもしれない。
ステージに立つ潜は、遠い昔に聴いた彼のピアノの旋律を思い出させた。
機械のように精密で、それでいてどこか情熱的でもある。
おそらくそれが、彼の本質なのだろう。
射干玉の瞳がスポットライトの熱を弾いて煌めく。それは冷たく燃える星のようで、その瞳に射抜かれるたびに、來人は不思議な感慨を覚えた。
(俺の何が、お前を繋ぎ止めているんだろう)
自惚れではなく、自分がいるから潜はEv3nsに残ったのだと自覚していた。
その憎しみにも似た執着の正体はわからないが、來人がいる限り、潜がステージから降りることはない。
視線が交錯する。
不意に、潜の瞳が揺らいだ。彼の足元がふらついたのだと気づくより先に、咄嗟に肩を抱き寄せるように捕まえていた。
客席から黄色い悲鳴が上がる。
ちょうど二人のパートだったから、観客はきっとアドリブだと思ってくれただろう。
アクシデントの気配を感じ取ったのか、こちらを見る千弥の目には緊張が走っている。問題ないと伝える代わりに來人が軽く目配せすると、ほっとしたように眉尻を下げて、千弥は客席を向いた。切り替えの速さはさすがのものだ。
潜は微かに眉を顰めたが、すぐに涼しい顔で自分のパートを歌い上げた。
彼が不調を見せたのはその一瞬だけで、そこからはラストナンバーまで普段通りのパフォーマンスを見せていた。そのままアンコールまで走り抜け、拍手と歓声が鳴り止まない中、舞台から去っていく。いつもの人を食ったような微笑みは絶やさずに。
(まったく……)
半ば呆れながら、來人は潜の後を追った。
呆れているのは潜に対してではなく、自分に対してだ。
どこか呼吸が合わない。それは、ほんの僅かな違和感でしかなかった。
それなのに、潜の不調に気づいてしまった。つまりはそれだけ彼を見ていたということで、裏を返せば、今までの自分がどれだけ他人が見えていなかったのか思い知らされるようでもあった。きっとこれまでにも、見ようとしないまま見過ごしてきたものがたくさんあるのだろう。
舞台袖に戻るや否や、來人は潜を抱え上げた。
「何のつもり……」
「医務室に連れて行く。いいな?」
「……」
普段なら猛烈に嫌がりそうなところだが、反論する気力もないのか、不機嫌そうな表情のまま目を伏せる。潜の体は衣装越しでもわかるほど発熱していた。ライブの熱気が残っている、などとは誤魔化せないほどに。
楽屋裏で待機していた生行が、驚いたように目を瞬かせた。
「何事ですか」
「潜の様子がおかしかったんだが、どうも熱があるらしい」
「來人」
背後から呼ばれて足を止めると、幾成が脈を計るように潜の首に触れた。薄いラヴェンダー色の双眸がじっと潜に向けられている。不思議な明滅を繰り返すのは、生体スキャンをしているからだろう。
「どうだ?」
「三十八度六分。脈はやや速いが、呼吸音は正常。外傷はなし」
「……っ、プルシュは悪い子だね。断りもなく、僕を裸にしようだなんて」
腕のなかで、潜が嘲笑を浮かべる。無断でスキャンを走らせたことに対する嫌味のようだが、この場合は幾成の判断が正しい。
「要するに、風邪か?」
來人の問いかけに、幾成は首を横に振った。
「わからない。自分には医学的な診断機能までは備わっていない。念のため病院に搬送することを推奨する」
「救急車を呼んできます。裏口で待機していてください」
幾成の言葉を聞いて、間髪入れず生行が指示を出す。わかったと答えて、潜を抱え直すと、幾成が両腕を差し出した。
「自分が運ぼう。そのほうが効率的だ」
潜は長身で体格も良い。確かにアンドロイドである幾成のほうが安定して運べるだろう。來人は軽く頷いて、幾成の腕に潜を預けた。
「……ふふ、優しく運んでおくれよ」
重い吐息と共に、かすかな囁きがこぼれた。
頭でも痛むのか、あるいは熱に浮かされているからか、うっすらと開いた瞼の下、黒い瞳の端に涙が滲んでいる。
そんな状態でも軽口を叩こうとするのが、この男らしかった。
苦笑を浮かべて、來人は背後を振り返る。
事態を見守っていた太緒と千弥は、不安そうな表情を浮かべていた。
「くぐりぬ、ライブ前から具合悪かったのかな」
「昼はちゃんと食ってたみたいすけどね」
普段は飄々としている潜の弱った姿を見て少なからず衝撃を受けているようだった。特に千弥は潜に懐いているようだったから余計に気にかかるのかもしれない。
來人は努めて明るく笑ってみせた。
「ライブでも歌い切っていたし、きっと大丈夫だろう。二人は先に寮に帰っていてくれないか。みんなの荷物を持ち帰ってほしい」
沈痛な面持ちをわずかに緩めて、太緒が「わかりました」と頷いた。不安そうに口籠る千弥の手を引いて歩き出す。
こういう時には何か役割を与えられたほうが、気が紛れるはずだ。手持ち無沙汰だと余計なことを考えすぎて心が疲弊していく。
ほどなくして救急車が到着し、生行が救急隊員を連れて戻ってきた。
サイレンの音はない。
ライブが終わったばかりの会場にはまだ大勢の観光客が残っている。余計な心配や憶測を生まないようにという配慮だろう。
付き添いのために救急車に乗り込もうとした生行を、來人は引き留めた。
「俺が同行するから、お前は千弥たちについて寮に戻ってくれないか」
「……これはマネージャーの仕事だろ」
「俺はリーダーの役目だと思う」
生行の目には苛立ちと困惑が浮かんでいた。
マネージャーとしてメンバーの体調不良に気づかなかった自責と、來人の言葉や態度に対する反発があるのだろう。同時に、不安そうに立ち竦んでいた千弥のケアも必要だということは理解しているはずだ。
やがて、根負けしたように視線を逸らして、生行が吐き捨てた。
「勝手にしろ」
「千弥たちのフォローを頼む。幾成もな」
「オーダーを受理。マネージャーに同行する」
來人が救急車に乗り込むと、やはりサイレンを鳴らすことなく車が動き出した。行き先は大黒病院――可不可の根回しに違いない。
意識を失っているのか、瞼を伏せた潜は静かだ。
來人の脳裏に、千弥の青褪めた顔が浮かぶ。
おそらく生行が刺された時のことを思い出していたのだろう。
状況がまったく違うし、幾成の言葉を聞く限り潜に命の危険はない。
サイレンも鳴らさずに走る救急車がそれを裏付けていた。
しかし、あの一件が千弥にとって少なからず心理的外傷となっていることは薄々感じ取っていた。千弥には何ひとつ責任はないのに、原因の一端が自分にあると思い込んでいるようだった。
來人はといえば、事件の前後の記憶がほとんどない。
今と同じように救急車に同乗していたはずだが、そのあたりの記憶が抜け落ちていて、気がつけば病室にいた。
ただ、ずっと取り乱して、怯えたように生行の名前を呼んでいたのは覚えている。あんな風に錯乱したのは、生まれて初めてだったかもしれない。
己の死を予言された時ですら、もっと静かに受け止めていたはずだ。
本当は恐ろしさのあまりわめき散らしたかったのかもしれないが、まだ子どもだった來人は、己の死に顔を前にして取り乱すこともできなかった。
今は素直に恐ろしい。
自分という存在が消える日のことを想像すると、膝から頽れそうになる。
子どものように泣きわめいて、うずくまってしまいたい。後悔のないように生きると決めていたのに、何をどれだけ成し遂げたら後悔がなくなるのかわからなかった。
この孤独を。
この、さみしさを。
自分以外の人間は、どうやってやり過ごしているのだろう。
誰かと愛し合うことができれば、寂しさは埋められるのか?
恋しい相手とやらが出来れば、孤独は癒やされるのだろうか。
恋ではなくとも、誰かに心を傾けることが愛なのだと諭されて、「愛している」という言葉を躊躇いなく口にすることができるようになった。かつては声に出そうとするだけで、罪悪感のあまり吐き気すら覚えたが、今は違う。
けれど一方で、來人がいくら愛を告げても、同じものを返されることはないのだと気づいていた。
「お前が囁く張りぼての愛なんて、誰も欲しがってはいないのさ」
いつだったか、潜はそう嘲笑った。
來人は眠る男の顔を眺めた。
(だったらキミは、どんな愛が欲しいんだ)
独白に答えは返らない。
車窓から差し込む街灯の光が、蒼白む瞼を撫でるように過ぎ去っていった。
2
『災害』の後しばらくは幻肢痛に悩まされた。
喪ったはずの指先が痛くてたまらない。病院のベッドの上で歯を食いしばり、ナースコールを押そうとして、肘から先に何もないことに気づく。
鎮痛剤を打ってもらっても効果はなかった。本来ないはずの痛みなのだから当然だ。
ぐったりと枕に沈み込み、天井を見上げながら、潜は腱鞘炎になりかけた時のことを思い出した。小学校に上がる前だったか、鍵盤を叩くたび手首に痺れるような痛みが走るようになったのだ。
ピアノを弾くと手首が痛むことを恐る恐る告げると、母親は怒りに任せて潜の頬を打った。彼女が潜を罰する時は決まって頬を打つ。指や腕はもってのほかで、足だってペダルを踏むために大切にしなければならない。その点、息子の顔なんて彼女にとってはどうでもよかったのだ。ピアノを弾くためには必要ではないから。
「どうしてもっと早く言わないの。ピアノが弾けなくなったらどうするつもり?」
それは息子を案じての言葉ではなく、潜の腕が使い物にならなくなることを危惧しただけだったのだろう。練習のし過ぎで腕を故障し、挫折するピアニストはごまんといる。どれほど才能があっても、怪我のせいで続けられなくなることはあるのだ。
その時の怪我は軽症で、すぐに練習を再開できた。
それ以来、母親に命じられて、潜はアスリートのような生活を送った。食生活に気を遣い、身体を鍛え、セルフケアする方法を学んだ。
しかしそんな努力も一瞬で無に帰したわけだ。
潜が病院に運び込まれてから、母親が見舞いに来ることは一度もなかった。
『災害』についてはJPNでも大々的に報じられただろうし、潜が入院しているという報せは病院から行っているはずだ。
けれど、ピアノを弾けない息子など彼女にとってはなんの価値もないのだろう。
母親の中で、潜は死んだも同然に違いない。
そんな母親に対する失望もなかった。本当は薄々気がついていたのだ。潜は母親にとって都合の良い人形でしかなかった。壊れた人形は捨てられるのが道理だ。
医師の勧めに従い安物の義手を装着してからは、幻肢痛の頻度は格段に減った。
しかし時折、ないはずの腕が焼けるような痛みに苛まれる朝があった。
それはきまってピアノを弾いている夢を見た夜明けのことだ。
静かに雪の降る夜の底で、潜はピアノを弾いていた。
凍てつくような寒さも、潜の指を止めはしない。なめらかに鍵盤の上をすべり、紡がれた旋律は闇に吸い込まれていく。
すぐ傍らに、金髪の青年が立っていた。
若葉のように瑞々しい、美しい瞳が潜を見つめている。
顔を上げなくてもわかる。
彼はきっと、優しい微笑みを浮かべているのだろう。あの夜のように。
「 」
名前を呼んだ。
その瞬間、両腕が炎を上げて焼け落ちていく。
赤々とした炎は瞬く間に燃え広がり、いつしかピアノも燃え尽きていた。あのひとも黒く炭化して闇の中に消えた。残ったのは、腕をなくした燃え滓のような己だけ。
かみさま、と喉元に込み上げた悲鳴をどうにか飲み込む。
神などいない。
いたとしても、それは潜からすべてを奪っていった。祈る言葉などあるものか。
神が目の前に現れたら、殺してやりたいくらいだ。
「……潜?」
誰かが囁く声がして、それに引きずられるように夢は途切れた。
瞼を押し上げると、まずは無機質な天井が見えた。消毒薬の匂い。カーテンレールに区切られたベッド。吊るされた点滴。嫌というほど見慣れた病室の景色だ。
気配を感じて視線を巡らすと、傍らに人影があった。ベッドのすぐ傍に用意された椅子に誰かが腰掛けている。視線を上げて、目を凝らした。
木洩れ陽を紡いだような金の髪に、鮮やかな新緑の瞳。
フレデリク。
咄嗟に名前を呼ぼうとして、しかし声にはならなかった。唇は乾いてひび割れている。錆びた鉄の味がした。心臓の音が早鐘のように頭蓋に響く。
どうして、と瞬きを繰り返すうちに、長い夢から醒めたのだと気がついた。
「……來人」
この男はフレデリクではない。
髪と瞳の色が同じだけで、まるで似ていない。
いくら寝惚けていたからと言って、見間違えるなんてどうかしていた。
潜は苛立ちを抱えたまま眉を顰めた。そもそもどうして病院に運ばれたのだったか――思考を巡らせるうちに己の失態を思い出し、ますます不愉快な気分になる。
ライブの最中に古傷が疼いて、それをよりにもよって來人に気取られたのだ。
パフォーマンスは最後までやり遂げたはずだ。あのまま寮に帰らず、どこかで適当に休むつもりだったのに、この男のせいでとんだ醜態を晒してしまった。
「大丈夫か? ずいぶん魘されていたが」
來人の指先が潜の額に触れる。
そのまま汗で額に張りついた前髪を撫でつけるようにして払われた。
「熱は下がったみたいだな」
「……余計なことをしてくれたね」
幻肢痛はコントロールできない。
どういうタイミングで発症するのかは潜自身にもわからなかった。
だが、もう長年のことで慣れているし、自分だけで対処はできたのだ。むしろ医者に見せたところでどうにもならない。鎮痛剤はまるで効かないから手負いの獣のように息を潜めてやり過ごすだけだった。
來人がしたことは、潜にとっては迷惑なだけだった。
嫌味を言ったところでこの男には響かないだろうが、また同じことをされてはたまらない。次からは放っておいてくれと釘を刺すと、來人は苦笑を浮かべてみせた。
「そうは言ってもな。具合が悪いのに気づいたら、心配はするだろう」
「それが迷惑だと言ってるんだ。お前に心配される謂れはないよ」
「キミを心配するのに理由が必要なのか?」
來人は困惑したように眉根を寄せた。
馬鹿馬鹿しい。胸の内で吐き捨てて、潜は己の右腕を伸ばした。
紛い物の腕は持ち主に従順だった。
先ほどまでの痛みが嘘のようだ。
いま使っている義手は最新式のオーダーメイド品で、生身の腕とほとんど同じように動かせる。その分こまめなメンテナンスを要するが、食事をしたり、ハンドルを握ったり、あるいはステージの上でダンスをする際にも不自由は感じない。
だが、どれだけ本物に似せて作っても、これはただの模倣品だ。
人並みにピアノを鳴らすことはできても、かつてのように自在に鍵盤を操ることはできない。だから、潜はこの先もう二度とピアノに触れるつもりはなかった。
この男と『愛の夢』を連弾する日など来ることはない。
潜は身を起こしてベッドから降りた。
手を伸ばし、來人の頬に触れる。
指先には高性能のセンサーが埋め込まれて、やわらかな輪郭と体温は、数値として脳に伝達される。
だがこれは、ぬくもりと呼べるだろうか?
「――潜?」
こちらを見上げる來人の瞳には戸惑いが浮かんでいる。
困惑と、かすかな警戒。
潜は喉奥で笑った。いつもは傲岸不遜な男が、どこか不安そうに自分を見る。それがひどく滑稽だ。きっと、触れられることに碌な思い出がないのだろう。
たとえば、無理をして作った『恋人』に、こんなふうに迫られたことがあったのかもしれない。
「哀れだね、來人」
期待には応えてやらなければ。
そう決めて、顔を近づける。
ぎくりと体を強張らせて、來人は息を呑んだ。視界の端に、戸惑ったように揺れる瞳が映る。穏やかな風に梢を鳴らす新緑の匂いを思い出した。
羽のような軽さで、唇を奪う。
薄い皮膚に触れてみたところで、ぬくもりと呼べるほどの熱は感じられない。
少しかさついた、やわらかな感触があるだけだ。
「……ハハ、酷い顔」
だが、ほんの一瞬の交接は多少なりとも嫌がらせにはなったようだ。
舌も差し込まない児戯のような口づけさえ、來人の顔を強張らせていた。
荒野の果てで誘惑に耐える聖職者にでもなったつもりだろうか。
ようやく溜飲が下がった心地がして、潜は微笑んだ。
「今夜は帰らないから」
そう言い捨てて病室を後にする。
呼び止める声はなかった。
軽やかなステップを踏むようにして、潜は夜の街へ向かった。
3
潜が寮に戻らないのは、よくあることだった。
むしろ部屋に戻ってくる夜のほうが珍しいかもしれない。だから、ライブ後にふらりとどこかへ出かけたようだ、という方便を誰も疑わないだろう。
先に帰寮した太緒から届いたメッセージによると、潜はいつもの夜遊び、來人は急な仕事が入ったのでそれを片付けてから帰る、ということになっているようだ。
もちろん可不可や楓には生行から報告が行っているだろうが、他の班のメンバーにまで余計な心配をかける必要はない。
家族でもない來人は詳しい説明を聞かされなかったが、病院に搬送された時点で潜の容体は安定していた。目を覚ましたら帰っても問題ないだろうと言われ、大事はなさそうだと生行に報告した。潜が目を覚ましたら寮に連れ帰るつもりでいた。
しかし、嘘から出た真実とでも言えばいいのか、目を覚ました潜は本当にどこかへ出かけてしまった。
「今夜は帰らないから」
そう言って病室を後にした潜を、引き止められなかった。
退院の手続きも取らずに抜け出した潜の代わりに病院の窓口でお叱りを受けたが、まあそれも些細な話だ。
自動運転のタクシーが夜の街をすべるように走る。
後部座席から街並みを眺めながら、來人は無意識に唇を撫でた。
「……ハハ、酷い顔」
病室で突然キスをされた。
憐れむようなその微笑みを見て、緊張のあまり息を詰めていたのだと気づく。
よほど間の抜けた顔をしていたのだろう。
触れるだけのキスなんて、別に初めてというわけでもないのに。
自分は普通の人間なのだと思いたくて、過去に何度か『恋人』を作ったことがあった。作ったと言っても、単に好きだと告白されて、それを受け入れてみただけの話だ。そして『恋人』に請われるままに手を繋ぎ、肩を抱き、キスをした。熱っぽい視線を向けられて、嬉しいと告げられて、呆然と立ち尽くしたことを覚えている。
何が嬉しいのか、まるでわからなかったからだ。
互いの熱を分け合う行為に、何の意義も見出せなかった。二人でいることに喜びはなく、逢瀬の時間が終わるとほっとした。会いたいと言われることを重荷に感じ、だんだんと理由をつけて約束を反故にすることが多くなった。そのうちに、相手のほうが耐えきれなくなって別れを切り出すのが常だった。
なんて薄情で不実な人間だろうか。
そう後悔しながらも一度の失敗では諦めきれずに、來人は同じ過ちを繰り返した。
そんな愚かな過去のことなどすっかり忘れたつもりでいたのに、あの一瞬の口づけのせいで、苦い記憶が蘇った。
子どもが読むような童話でさえ、キスは呪いを解いてくれるものとして語られる。だが、來人にとっては口づけこそが呪いだ。
寮に戻る頃には午前三時を過ぎていた。さすがに皆寝ているだろう。とはいえ夜鷹が店から戻るには少し早い時間だ。
來人は静かな足取りで廊下を歩き、すぐに足を止めた。リビングの入り口から灯りが漏れていたからだ。寮の照明はすべてAIで管理されているから、リビングが無人であれば自動的に消灯するはずだ。
リビングを覗くと、案の定ソファに腰掛けた生行がタブレットを弄っていた。來人の気配には気づいているのだろうが、顔をあげようともしない。
「ただいま。まだ起きていたのか」
「悠長に眠れるわけがないでしょう。――百目鬼さんは?」
「すっかり元気になって、どこかへ出掛けて行った。今夜は戻らないらしい」
生行はようやく顔を上げた。
「はあ? お前は何のために付き添いしてたんだ」
「そうは言うがな、潜が素直に俺の言うことを聞くわけがないだろう」
「開き直るな」
呆れたように嘆息して、生行はソファから立ち上がった。
マネージャーとしての責任感から二人の帰りを待っていたのだろう。しかし肝心の潜がいないのだから、生行が呆れるのも当然かもしれない。
「俺はもう休みます。朝になったら夏焼くんや主任にきちんと報告してください。特に夏焼くんはすごく心配してましたから」
「わかってる。おやすみ、生行」
返事はなく、生行は黙ってリビングを出て行った。
シャワーを浴びて自室に戻ると、幾成が静かに眠っていた。
部屋着に着替えてベッドに潜り込む。泥のような疲労感が体に重くのしかかったが、そのぶん目は冴えていた。
少しでも眠ろうと瞼を閉じれば、間近に見えた黒い瞳が脳裏に浮かんでくる。
戯れじみた口付けよりも、冴えざえと夜を映したような瞳に気を取られていたのかもしれない。
潜の眼差しは、心の奥底に閉じ込めていたどす黒い感情を暴いていく。
病室を抜け出す背中を呼び止めることもできなかったのは、口づけに驚いたからでも、傷ついたからでもない。ずっと抱え込んでいた怒りや嫉妬が溢れ出しそうだったからだ。
潤んだ瞳で「好きだよ」と言われる度に。
手を繋いで、抱きしめてと請われる度に。
そうやって誰かを好きになれる人間を心底羨ましいと妬んでいたのだ。
愛を抱ける人間になりたかった。正しく恋を受け取って同じものを返せる人間なら、世界から爪弾きにされたような心細さを感じることもなかったはずだ。
(――なんて、我ながら拗ねた子どもみたいだな)
天井を見つめながら、苦く笑う。
潜の言葉はいつだって鏡のように、來人の弱さを映し出す。
張り付けた笑顔の下に必死で隠した醜さを暴かれてしまいそうで、最初は彼のことが苦手だった。いたぶるように傷つけられて、憎しみさえ覚えた。人を愛せない自分が、人を憎むことはできるのかと自嘲したものだ。
けれど一度すべてを曝け出してしまえば、毒のような言葉を恐れる理由もなくなる。
潜が來人に突っかかるのは、それだけ來人のことを見ているからだ。その執着の理由はわからないが、恋や愛ではないことだけはわかる。潜の眼差しは、今まで來人に愛を告げてきた人たちとはまるで違った。
それがどれだけ嬉しいことか、潜にはきっとわからないだろう。
恋ではなくても誰かと繋がることができるかもしれない。そう思えたことは、來人にとっては紛れもなく希望だった。
(潜が帰ってきたら、話をしよう)
キミのことが知りたい。
どうして俺を壊したいのか。
キミが本当は何を求めているのか。
それを俺は与えられるのか。
尋ねたところで、はぐらかされるだけかもしれない。
けれど、答えを知りたいなら諦めずに足掻き続けるしかない。終着点がどこだとしても、それまでにできる限り足掻いておきたかった。
いつか二人で『愛の夢』を弾くために。
4
適当な巣穴を選んで夜を明かした。
潜の気を引くために奉仕したがる人間などいくらでもいる。夜中に突然訪れた潜のために食事と衣服とベッドを用意して、傅いて褒美を待つような愚かな子羊たち。
いい子だね、と顎を撫でてやるだけで、感極まって足もとに縋りつく。犬であれば千切れるほど尾を振っていただろう。
その献身を愛らしく思うこともあれば、煩わしいと思うこともあった。いずれにせよ、潜にとっては義手と同じ、替えの利く道具でしかない。愛を囁くのも、施しを与えるのも、関節をなめらかに動かすために油を差すようなものだった。
愛とは欲望に過ぎず、しかし欲望は生きていくための糧でもある。
満たされたいという欲望は、原始的で、単純で、人間らしい。それを恋と名付けて美しく飾り立てたところで、一皮剥けば同じこと。
その瞳に自分だけを映してほしい。
口づけて、抱きしめてほしい。
あなたの特別になりたい。
どんなに綺麗な言葉にしたところで、それは他人の心や体を侵略したいという支配欲に過ぎない。一部であれ、すべてであれ、他者を欲しがるとはそういうことだ。
(まあ、いじらしいとは思うけれどね)
潜は己に向けられる欲望を操り、利用しながら生きてきた。
それを悪行だとも恥ずべきことだとも思わない。利用するだけではなく、愛を与えて、夢を見せてやった。向けられる愛をただ拒絶してきたあの男とは違う。
「……」
目が覚めた時には日が暮れていた。
スマートフォンには千弥からのメッセージが何件も届いていた。
『大丈夫?』『元気?』『はやく帰ってきてね』
健気なものだと呆れつつ、アプリを閉じる。既読がついたことで、潜がメッセージを読んだことは伝わるはずだ。
このまましばらく寮に帰らなくてもいいかと思っていたが、この調子だと一度戻らなければ面倒なことになりそうだ。また失踪したと騒がれて捜索でもされたら、そのほうが煩わしい。
ねぐらから寮まではさほど遠くない。車を手配するのも面倒だったので、潜は歩いて帰ることにした。
外へ出ると、しんと冷たい冬の空気が頬を撫でた。墨を流したような暗い空から、ひらりひらりと白い雪片が降ってくる。傘を差すほどの雪ではなかった。地面に降り積もることもなく、すぐに融けてしまうだろう。
雪の夜は静かだ。
外の音が吸い込まれて、世界が無音になる。
(「世界中から隠れて、ピアノを弾きたいな」)
歩きながら、遠い夜を思い出す。
すべてを失うとも知らずに、ささやかな幸福に胸を躍らせていた夜。
「潜!」
名前を呼ばれて、足を止めた。
振り返るまでもなく聞き覚えのある声だ。よく通る、自信に満ちた声。それでもつい振り返ってしまったのは、思い出に浸っていたせいだろうか。
潜と目が合うと、來人は明るく笑った。早足で潜の隣にやってくる。
金の睫毛に雪が積もっているのが見えて、思わず息を呑んだ。
「おかえり。千弥が心配してたぞ」
立ち竦んだ潜には気づかず、來人は微笑んだ。昨日の晩のことなど忘れているかのような屈託のなさだ。もっと気まずそうにしていると思っていたのに。
(つまらない男)
ちらりと視線をやると、來人は買い物袋を持っていた。葱だか何だか、所帯じみた中身が見え隠れする。こんな夜中に散歩かと思えば、どうやらスーパーに出かけていたらしい。
潜の視線に気がついて、來人は荷物を掲げてみせた。
「そろそろキミが帰ってくるころだと思ってな。ラーメンの具材を買ってきた」
「僕のために作るみたいなポーズやめてくれる? 頼んでないし、僕は食べない」
心外とでも言いたげに、來人は瞠目した。
「どうして」
「逆にどうして僕が食べると思うんだよ」
この男と二人きりで話していると心底疲れる。
うんざりとした気分で、潜は寮へ向かった。
嫌がらせにキスをしたくらいじゃ、まるで割に合わない。こうやって話しかけてくるということは、それだってたいしたダメージになっていないようだし。誤算もいいところだ。
「潜の好みに合わせて、塩ラーメンにしたんだが」
「勝手に僕の好みを捏造するな」
「だが、きっと気にいると思うぞ。奮発して鯛と魚介で出汁を取って――」
「その不快なお喋りをやめないなら、もう一度キスして口を塞いであげようか」
潜が睨みつけると、來人は眉尻を下げて困ったように笑った。
「それは遠慮しておこうかな。キミとの距離は、今のままが心地良いんだ」
呆気に取られて、思わず足を止めてしまった。
どうした? と振り返る來人を、じっと見つめる。
この男はやはりどうかしている。だが、このままでは言い負かされたようで癪だ。
溜息を吐いて、歩き出す。潜を待つように立っていた來人の襟元を掴んで、力任せに引き寄せた。
そのまま唇を合わせる。
昨日よりもゆっくりと、感触を確かめるように口づけた。冷え切った唇にじわりと体温が滲んでいく。舌を入れなかったのは、そういう気分じゃなかったから。
どさりと買い物袋が地面に落ちる音がした。
ハ、と吐息で笑いながら顔を離す。ざまあみろ。
「酷い顔」
にこりと笑って、立ち尽くす男に背を向けた。そのままひとりで歩き出す。
「まったく、キミってやつは……」
ぼやくような來人の声に胸がすくようだった。
この男にとって心地良い存在になるなんてごめんだ。それなら來人の心臓に深く突き刺さるような棘でありたい。優しい思い出などではなく、いつまでもじくじくと痛む傷として、この男の記憶に残るほうがずっといい。
『愛の夢』には程遠いが、自分たちには似合いだろう。
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2025.01.13ドゥトリ無配
AロマAセクの來人とゲイロマパンセクの潜という解釈の微妙〜な距離感のプリモSSです。
合意のないキスの描写あり
#エイトリ #來潜
1
ステージには熱気が渦巻いている。
降り注ぐスポットライト。
興奮冷めやらぬファンの歓声。
それらは海を焦がす残照のように、來人の眼に焼きついた。
ライブは終盤に差し掛かるほど盛り上がりを見せた。
情動をマイクに叩きつけるように歌う。
こうしてステージに立って、歌い、踊ることになるなんて、少し前まで想像もしていなかった。それを言うなら傷害罪で逮捕されることも、観光区長になることも、予想だにしない未来だったが。
先なんか見えないほうが、人生は面白い。
そんなことを口にすれば生行は露骨に嫌な顔をするだろうが、それは紛れもなく來人の本心だった。
幾成の歌声がマイクを通して会場に広がっていく。
透き通るような歌を奏でるのがアンドロイドだとは誰も気づかないだろう。
利き足を軸にして、ターンを決める。
こめかみに汗が伝う。
振付を覚えるのに苦労はしなかった。運動神経には自信があったし、組手の型を覚えるのと要領は同じだ。武術と違うのは、一人だけ先走ると不揃いで不恰好になってしまうことだろう。
他のメンバーと呼吸を合わせ、指先まで神経を研ぎ澄ます。自分以外の他人に合わせるために集中する。それだけのことが來人にとっては新鮮だった。
ファイトチームをまとめたり会社を経営する時は、他人の能力を見極めて適切に采配することが求められたが、ステージの上では來人も駒のひとつだ。
それが面白い。
來人は潜とペアになる振付が多かった。
潜は気まぐれな性格だ。そのうえ來人のことが気に食わないと言って何かと突っ掛かってくる。けれど完璧主義なところがあるせいか、練習も最低限は参加するし、なんだかんだきちんと合わせてくれる。根が真面目なのかもしれない。
ステージに立つ潜は、遠い昔に聴いた彼のピアノの旋律を思い出させた。
機械のように精密で、それでいてどこか情熱的でもある。
おそらくそれが、彼の本質なのだろう。
射干玉の瞳がスポットライトの熱を弾いて煌めく。それは冷たく燃える星のようで、その瞳に射抜かれるたびに、來人は不思議な感慨を覚えた。
(俺の何が、お前を繋ぎ止めているんだろう)
自惚れではなく、自分がいるから潜はEv3nsに残ったのだと自覚していた。
その憎しみにも似た執着の正体はわからないが、來人がいる限り、潜がステージから降りることはない。
視線が交錯する。
不意に、潜の瞳が揺らいだ。彼の足元がふらついたのだと気づくより先に、咄嗟に肩を抱き寄せるように捕まえていた。
客席から黄色い悲鳴が上がる。
ちょうど二人のパートだったから、観客はきっとアドリブだと思ってくれただろう。
アクシデントの気配を感じ取ったのか、こちらを見る千弥の目には緊張が走っている。問題ないと伝える代わりに來人が軽く目配せすると、ほっとしたように眉尻を下げて、千弥は客席を向いた。切り替えの速さはさすがのものだ。
潜は微かに眉を顰めたが、すぐに涼しい顔で自分のパートを歌い上げた。
彼が不調を見せたのはその一瞬だけで、そこからはラストナンバーまで普段通りのパフォーマンスを見せていた。そのままアンコールまで走り抜け、拍手と歓声が鳴り止まない中、舞台から去っていく。いつもの人を食ったような微笑みは絶やさずに。
(まったく……)
半ば呆れながら、來人は潜の後を追った。
呆れているのは潜に対してではなく、自分に対してだ。
どこか呼吸が合わない。それは、ほんの僅かな違和感でしかなかった。
それなのに、潜の不調に気づいてしまった。つまりはそれだけ彼を見ていたということで、裏を返せば、今までの自分がどれだけ他人が見えていなかったのか思い知らされるようでもあった。きっとこれまでにも、見ようとしないまま見過ごしてきたものがたくさんあるのだろう。
舞台袖に戻るや否や、來人は潜を抱え上げた。
「何のつもり……」
「医務室に連れて行く。いいな?」
「……」
普段なら猛烈に嫌がりそうなところだが、反論する気力もないのか、不機嫌そうな表情のまま目を伏せる。潜の体は衣装越しでもわかるほど発熱していた。ライブの熱気が残っている、などとは誤魔化せないほどに。
楽屋裏で待機していた生行が、驚いたように目を瞬かせた。
「何事ですか」
「潜の様子がおかしかったんだが、どうも熱があるらしい」
「來人」
背後から呼ばれて足を止めると、幾成が脈を計るように潜の首に触れた。薄いラヴェンダー色の双眸がじっと潜に向けられている。不思議な明滅を繰り返すのは、生体スキャンをしているからだろう。
「どうだ?」
「三十八度六分。脈はやや速いが、呼吸音は正常。外傷はなし」
「……っ、プルシュは悪い子だね。断りもなく、僕を裸にしようだなんて」
腕のなかで、潜が嘲笑を浮かべる。無断でスキャンを走らせたことに対する嫌味のようだが、この場合は幾成の判断が正しい。
「要するに、風邪か?」
來人の問いかけに、幾成は首を横に振った。
「わからない。自分には医学的な診断機能までは備わっていない。念のため病院に搬送することを推奨する」
「救急車を呼んできます。裏口で待機していてください」
幾成の言葉を聞いて、間髪入れず生行が指示を出す。わかったと答えて、潜を抱え直すと、幾成が両腕を差し出した。
「自分が運ぼう。そのほうが効率的だ」
潜は長身で体格も良い。確かにアンドロイドである幾成のほうが安定して運べるだろう。來人は軽く頷いて、幾成の腕に潜を預けた。
「……ふふ、優しく運んでおくれよ」
重い吐息と共に、かすかな囁きがこぼれた。
頭でも痛むのか、あるいは熱に浮かされているからか、うっすらと開いた瞼の下、黒い瞳の端に涙が滲んでいる。
そんな状態でも軽口を叩こうとするのが、この男らしかった。
苦笑を浮かべて、來人は背後を振り返る。
事態を見守っていた太緒と千弥は、不安そうな表情を浮かべていた。
「くぐりぬ、ライブ前から具合悪かったのかな」
「昼はちゃんと食ってたみたいすけどね」
普段は飄々としている潜の弱った姿を見て少なからず衝撃を受けているようだった。特に千弥は潜に懐いているようだったから余計に気にかかるのかもしれない。
來人は努めて明るく笑ってみせた。
「ライブでも歌い切っていたし、きっと大丈夫だろう。二人は先に寮に帰っていてくれないか。みんなの荷物を持ち帰ってほしい」
沈痛な面持ちをわずかに緩めて、太緒が「わかりました」と頷いた。不安そうに口籠る千弥の手を引いて歩き出す。
こういう時には何か役割を与えられたほうが、気が紛れるはずだ。手持ち無沙汰だと余計なことを考えすぎて心が疲弊していく。
ほどなくして救急車が到着し、生行が救急隊員を連れて戻ってきた。
サイレンの音はない。
ライブが終わったばかりの会場にはまだ大勢の観光客が残っている。余計な心配や憶測を生まないようにという配慮だろう。
付き添いのために救急車に乗り込もうとした生行を、來人は引き留めた。
「俺が同行するから、お前は千弥たちについて寮に戻ってくれないか」
「……これはマネージャーの仕事だろ」
「俺はリーダーの役目だと思う」
生行の目には苛立ちと困惑が浮かんでいた。
マネージャーとしてメンバーの体調不良に気づかなかった自責と、來人の言葉や態度に対する反発があるのだろう。同時に、不安そうに立ち竦んでいた千弥のケアも必要だということは理解しているはずだ。
やがて、根負けしたように視線を逸らして、生行が吐き捨てた。
「勝手にしろ」
「千弥たちのフォローを頼む。幾成もな」
「オーダーを受理。マネージャーに同行する」
來人が救急車に乗り込むと、やはりサイレンを鳴らすことなく車が動き出した。行き先は大黒病院――可不可の根回しに違いない。
意識を失っているのか、瞼を伏せた潜は静かだ。
來人の脳裏に、千弥の青褪めた顔が浮かぶ。
おそらく生行が刺された時のことを思い出していたのだろう。
状況がまったく違うし、幾成の言葉を聞く限り潜に命の危険はない。
サイレンも鳴らさずに走る救急車がそれを裏付けていた。
しかし、あの一件が千弥にとって少なからず心理的外傷となっていることは薄々感じ取っていた。千弥には何ひとつ責任はないのに、原因の一端が自分にあると思い込んでいるようだった。
來人はといえば、事件の前後の記憶がほとんどない。
今と同じように救急車に同乗していたはずだが、そのあたりの記憶が抜け落ちていて、気がつけば病室にいた。
ただ、ずっと取り乱して、怯えたように生行の名前を呼んでいたのは覚えている。あんな風に錯乱したのは、生まれて初めてだったかもしれない。
己の死を予言された時ですら、もっと静かに受け止めていたはずだ。
本当は恐ろしさのあまりわめき散らしたかったのかもしれないが、まだ子どもだった來人は、己の死に顔を前にして取り乱すこともできなかった。
今は素直に恐ろしい。
自分という存在が消える日のことを想像すると、膝から頽れそうになる。
子どものように泣きわめいて、うずくまってしまいたい。後悔のないように生きると決めていたのに、何をどれだけ成し遂げたら後悔がなくなるのかわからなかった。
この孤独を。
この、さみしさを。
自分以外の人間は、どうやってやり過ごしているのだろう。
誰かと愛し合うことができれば、寂しさは埋められるのか?
恋しい相手とやらが出来れば、孤独は癒やされるのだろうか。
恋ではなくとも、誰かに心を傾けることが愛なのだと諭されて、「愛している」という言葉を躊躇いなく口にすることができるようになった。かつては声に出そうとするだけで、罪悪感のあまり吐き気すら覚えたが、今は違う。
けれど一方で、來人がいくら愛を告げても、同じものを返されることはないのだと気づいていた。
「お前が囁く張りぼての愛なんて、誰も欲しがってはいないのさ」
いつだったか、潜はそう嘲笑った。
來人は眠る男の顔を眺めた。
(だったらキミは、どんな愛が欲しいんだ)
独白に答えは返らない。
車窓から差し込む街灯の光が、蒼白む瞼を撫でるように過ぎ去っていった。
2
『災害』の後しばらくは幻肢痛に悩まされた。
喪ったはずの指先が痛くてたまらない。病院のベッドの上で歯を食いしばり、ナースコールを押そうとして、肘から先に何もないことに気づく。
鎮痛剤を打ってもらっても効果はなかった。本来ないはずの痛みなのだから当然だ。
ぐったりと枕に沈み込み、天井を見上げながら、潜は腱鞘炎になりかけた時のことを思い出した。小学校に上がる前だったか、鍵盤を叩くたび手首に痺れるような痛みが走るようになったのだ。
ピアノを弾くと手首が痛むことを恐る恐る告げると、母親は怒りに任せて潜の頬を打った。彼女が潜を罰する時は決まって頬を打つ。指や腕はもってのほかで、足だってペダルを踏むために大切にしなければならない。その点、息子の顔なんて彼女にとってはどうでもよかったのだ。ピアノを弾くためには必要ではないから。
「どうしてもっと早く言わないの。ピアノが弾けなくなったらどうするつもり?」
それは息子を案じての言葉ではなく、潜の腕が使い物にならなくなることを危惧しただけだったのだろう。練習のし過ぎで腕を故障し、挫折するピアニストはごまんといる。どれほど才能があっても、怪我のせいで続けられなくなることはあるのだ。
その時の怪我は軽症で、すぐに練習を再開できた。
それ以来、母親に命じられて、潜はアスリートのような生活を送った。食生活に気を遣い、身体を鍛え、セルフケアする方法を学んだ。
しかしそんな努力も一瞬で無に帰したわけだ。
潜が病院に運び込まれてから、母親が見舞いに来ることは一度もなかった。
『災害』についてはJPNでも大々的に報じられただろうし、潜が入院しているという報せは病院から行っているはずだ。
けれど、ピアノを弾けない息子など彼女にとってはなんの価値もないのだろう。
母親の中で、潜は死んだも同然に違いない。
そんな母親に対する失望もなかった。本当は薄々気がついていたのだ。潜は母親にとって都合の良い人形でしかなかった。壊れた人形は捨てられるのが道理だ。
医師の勧めに従い安物の義手を装着してからは、幻肢痛の頻度は格段に減った。
しかし時折、ないはずの腕が焼けるような痛みに苛まれる朝があった。
それはきまってピアノを弾いている夢を見た夜明けのことだ。
静かに雪の降る夜の底で、潜はピアノを弾いていた。
凍てつくような寒さも、潜の指を止めはしない。なめらかに鍵盤の上をすべり、紡がれた旋律は闇に吸い込まれていく。
すぐ傍らに、金髪の青年が立っていた。
若葉のように瑞々しい、美しい瞳が潜を見つめている。
顔を上げなくてもわかる。
彼はきっと、優しい微笑みを浮かべているのだろう。あの夜のように。
「 」
名前を呼んだ。
その瞬間、両腕が炎を上げて焼け落ちていく。
赤々とした炎は瞬く間に燃え広がり、いつしかピアノも燃え尽きていた。あのひとも黒く炭化して闇の中に消えた。残ったのは、腕をなくした燃え滓のような己だけ。
かみさま、と喉元に込み上げた悲鳴をどうにか飲み込む。
神などいない。
いたとしても、それは潜からすべてを奪っていった。祈る言葉などあるものか。
神が目の前に現れたら、殺してやりたいくらいだ。
「……潜?」
誰かが囁く声がして、それに引きずられるように夢は途切れた。
瞼を押し上げると、まずは無機質な天井が見えた。消毒薬の匂い。カーテンレールに区切られたベッド。吊るされた点滴。嫌というほど見慣れた病室の景色だ。
気配を感じて視線を巡らすと、傍らに人影があった。ベッドのすぐ傍に用意された椅子に誰かが腰掛けている。視線を上げて、目を凝らした。
木洩れ陽を紡いだような金の髪に、鮮やかな新緑の瞳。
フレデリク。
咄嗟に名前を呼ぼうとして、しかし声にはならなかった。唇は乾いてひび割れている。錆びた鉄の味がした。心臓の音が早鐘のように頭蓋に響く。
どうして、と瞬きを繰り返すうちに、長い夢から醒めたのだと気がついた。
「……來人」
この男はフレデリクではない。
髪と瞳の色が同じだけで、まるで似ていない。
いくら寝惚けていたからと言って、見間違えるなんてどうかしていた。
潜は苛立ちを抱えたまま眉を顰めた。そもそもどうして病院に運ばれたのだったか――思考を巡らせるうちに己の失態を思い出し、ますます不愉快な気分になる。
ライブの最中に古傷が疼いて、それをよりにもよって來人に気取られたのだ。
パフォーマンスは最後までやり遂げたはずだ。あのまま寮に帰らず、どこかで適当に休むつもりだったのに、この男のせいでとんだ醜態を晒してしまった。
「大丈夫か? ずいぶん魘されていたが」
來人の指先が潜の額に触れる。
そのまま汗で額に張りついた前髪を撫でつけるようにして払われた。
「熱は下がったみたいだな」
「……余計なことをしてくれたね」
幻肢痛はコントロールできない。
どういうタイミングで発症するのかは潜自身にもわからなかった。
だが、もう長年のことで慣れているし、自分だけで対処はできたのだ。むしろ医者に見せたところでどうにもならない。鎮痛剤はまるで効かないから手負いの獣のように息を潜めてやり過ごすだけだった。
來人がしたことは、潜にとっては迷惑なだけだった。
嫌味を言ったところでこの男には響かないだろうが、また同じことをされてはたまらない。次からは放っておいてくれと釘を刺すと、來人は苦笑を浮かべてみせた。
「そうは言ってもな。具合が悪いのに気づいたら、心配はするだろう」
「それが迷惑だと言ってるんだ。お前に心配される謂れはないよ」
「キミを心配するのに理由が必要なのか?」
來人は困惑したように眉根を寄せた。
馬鹿馬鹿しい。胸の内で吐き捨てて、潜は己の右腕を伸ばした。
紛い物の腕は持ち主に従順だった。
先ほどまでの痛みが嘘のようだ。
いま使っている義手は最新式のオーダーメイド品で、生身の腕とほとんど同じように動かせる。その分こまめなメンテナンスを要するが、食事をしたり、ハンドルを握ったり、あるいはステージの上でダンスをする際にも不自由は感じない。
だが、どれだけ本物に似せて作っても、これはただの模倣品だ。
人並みにピアノを鳴らすことはできても、かつてのように自在に鍵盤を操ることはできない。だから、潜はこの先もう二度とピアノに触れるつもりはなかった。
この男と『愛の夢』を連弾する日など来ることはない。
潜は身を起こしてベッドから降りた。
手を伸ばし、來人の頬に触れる。
指先には高性能のセンサーが埋め込まれて、やわらかな輪郭と体温は、数値として脳に伝達される。
だがこれは、ぬくもりと呼べるだろうか?
「――潜?」
こちらを見上げる來人の瞳には戸惑いが浮かんでいる。
困惑と、かすかな警戒。
潜は喉奥で笑った。いつもは傲岸不遜な男が、どこか不安そうに自分を見る。それがひどく滑稽だ。きっと、触れられることに碌な思い出がないのだろう。
たとえば、無理をして作った『恋人』に、こんなふうに迫られたことがあったのかもしれない。
「哀れだね、來人」
期待には応えてやらなければ。
そう決めて、顔を近づける。
ぎくりと体を強張らせて、來人は息を呑んだ。視界の端に、戸惑ったように揺れる瞳が映る。穏やかな風に梢を鳴らす新緑の匂いを思い出した。
羽のような軽さで、唇を奪う。
薄い皮膚に触れてみたところで、ぬくもりと呼べるほどの熱は感じられない。
少しかさついた、やわらかな感触があるだけだ。
「……ハハ、酷い顔」
だが、ほんの一瞬の交接は多少なりとも嫌がらせにはなったようだ。
舌も差し込まない児戯のような口づけさえ、來人の顔を強張らせていた。
荒野の果てで誘惑に耐える聖職者にでもなったつもりだろうか。
ようやく溜飲が下がった心地がして、潜は微笑んだ。
「今夜は帰らないから」
そう言い捨てて病室を後にする。
呼び止める声はなかった。
軽やかなステップを踏むようにして、潜は夜の街へ向かった。
3
潜が寮に戻らないのは、よくあることだった。
むしろ部屋に戻ってくる夜のほうが珍しいかもしれない。だから、ライブ後にふらりとどこかへ出かけたようだ、という方便を誰も疑わないだろう。
先に帰寮した太緒から届いたメッセージによると、潜はいつもの夜遊び、來人は急な仕事が入ったのでそれを片付けてから帰る、ということになっているようだ。
もちろん可不可や楓には生行から報告が行っているだろうが、他の班のメンバーにまで余計な心配をかける必要はない。
家族でもない來人は詳しい説明を聞かされなかったが、病院に搬送された時点で潜の容体は安定していた。目を覚ましたら帰っても問題ないだろうと言われ、大事はなさそうだと生行に報告した。潜が目を覚ましたら寮に連れ帰るつもりでいた。
しかし、嘘から出た真実とでも言えばいいのか、目を覚ました潜は本当にどこかへ出かけてしまった。
「今夜は帰らないから」
そう言って病室を後にした潜を、引き止められなかった。
退院の手続きも取らずに抜け出した潜の代わりに病院の窓口でお叱りを受けたが、まあそれも些細な話だ。
自動運転のタクシーが夜の街をすべるように走る。
後部座席から街並みを眺めながら、來人は無意識に唇を撫でた。
「……ハハ、酷い顔」
病室で突然キスをされた。
憐れむようなその微笑みを見て、緊張のあまり息を詰めていたのだと気づく。
よほど間の抜けた顔をしていたのだろう。
触れるだけのキスなんて、別に初めてというわけでもないのに。
自分は普通の人間なのだと思いたくて、過去に何度か『恋人』を作ったことがあった。作ったと言っても、単に好きだと告白されて、それを受け入れてみただけの話だ。そして『恋人』に請われるままに手を繋ぎ、肩を抱き、キスをした。熱っぽい視線を向けられて、嬉しいと告げられて、呆然と立ち尽くしたことを覚えている。
何が嬉しいのか、まるでわからなかったからだ。
互いの熱を分け合う行為に、何の意義も見出せなかった。二人でいることに喜びはなく、逢瀬の時間が終わるとほっとした。会いたいと言われることを重荷に感じ、だんだんと理由をつけて約束を反故にすることが多くなった。そのうちに、相手のほうが耐えきれなくなって別れを切り出すのが常だった。
なんて薄情で不実な人間だろうか。
そう後悔しながらも一度の失敗では諦めきれずに、來人は同じ過ちを繰り返した。
そんな愚かな過去のことなどすっかり忘れたつもりでいたのに、あの一瞬の口づけのせいで、苦い記憶が蘇った。
子どもが読むような童話でさえ、キスは呪いを解いてくれるものとして語られる。だが、來人にとっては口づけこそが呪いだ。
寮に戻る頃には午前三時を過ぎていた。さすがに皆寝ているだろう。とはいえ夜鷹が店から戻るには少し早い時間だ。
來人は静かな足取りで廊下を歩き、すぐに足を止めた。リビングの入り口から灯りが漏れていたからだ。寮の照明はすべてAIで管理されているから、リビングが無人であれば自動的に消灯するはずだ。
リビングを覗くと、案の定ソファに腰掛けた生行がタブレットを弄っていた。來人の気配には気づいているのだろうが、顔をあげようともしない。
「ただいま。まだ起きていたのか」
「悠長に眠れるわけがないでしょう。――百目鬼さんは?」
「すっかり元気になって、どこかへ出掛けて行った。今夜は戻らないらしい」
生行はようやく顔を上げた。
「はあ? お前は何のために付き添いしてたんだ」
「そうは言うがな、潜が素直に俺の言うことを聞くわけがないだろう」
「開き直るな」
呆れたように嘆息して、生行はソファから立ち上がった。
マネージャーとしての責任感から二人の帰りを待っていたのだろう。しかし肝心の潜がいないのだから、生行が呆れるのも当然かもしれない。
「俺はもう休みます。朝になったら夏焼くんや主任にきちんと報告してください。特に夏焼くんはすごく心配してましたから」
「わかってる。おやすみ、生行」
返事はなく、生行は黙ってリビングを出て行った。
シャワーを浴びて自室に戻ると、幾成が静かに眠っていた。
部屋着に着替えてベッドに潜り込む。泥のような疲労感が体に重くのしかかったが、そのぶん目は冴えていた。
少しでも眠ろうと瞼を閉じれば、間近に見えた黒い瞳が脳裏に浮かんでくる。
戯れじみた口付けよりも、冴えざえと夜を映したような瞳に気を取られていたのかもしれない。
潜の眼差しは、心の奥底に閉じ込めていたどす黒い感情を暴いていく。
病室を抜け出す背中を呼び止めることもできなかったのは、口づけに驚いたからでも、傷ついたからでもない。ずっと抱え込んでいた怒りや嫉妬が溢れ出しそうだったからだ。
潤んだ瞳で「好きだよ」と言われる度に。
手を繋いで、抱きしめてと請われる度に。
そうやって誰かを好きになれる人間を心底羨ましいと妬んでいたのだ。
愛を抱ける人間になりたかった。正しく恋を受け取って同じものを返せる人間なら、世界から爪弾きにされたような心細さを感じることもなかったはずだ。
(――なんて、我ながら拗ねた子どもみたいだな)
天井を見つめながら、苦く笑う。
潜の言葉はいつだって鏡のように、來人の弱さを映し出す。
張り付けた笑顔の下に必死で隠した醜さを暴かれてしまいそうで、最初は彼のことが苦手だった。いたぶるように傷つけられて、憎しみさえ覚えた。人を愛せない自分が、人を憎むことはできるのかと自嘲したものだ。
けれど一度すべてを曝け出してしまえば、毒のような言葉を恐れる理由もなくなる。
潜が來人に突っかかるのは、それだけ來人のことを見ているからだ。その執着の理由はわからないが、恋や愛ではないことだけはわかる。潜の眼差しは、今まで來人に愛を告げてきた人たちとはまるで違った。
それがどれだけ嬉しいことか、潜にはきっとわからないだろう。
恋ではなくても誰かと繋がることができるかもしれない。そう思えたことは、來人にとっては紛れもなく希望だった。
(潜が帰ってきたら、話をしよう)
キミのことが知りたい。
どうして俺を壊したいのか。
キミが本当は何を求めているのか。
それを俺は与えられるのか。
尋ねたところで、はぐらかされるだけかもしれない。
けれど、答えを知りたいなら諦めずに足掻き続けるしかない。終着点がどこだとしても、それまでにできる限り足掻いておきたかった。
いつか二人で『愛の夢』を弾くために。
4
適当な巣穴を選んで夜を明かした。
潜の気を引くために奉仕したがる人間などいくらでもいる。夜中に突然訪れた潜のために食事と衣服とベッドを用意して、傅いて褒美を待つような愚かな子羊たち。
いい子だね、と顎を撫でてやるだけで、感極まって足もとに縋りつく。犬であれば千切れるほど尾を振っていただろう。
その献身を愛らしく思うこともあれば、煩わしいと思うこともあった。いずれにせよ、潜にとっては義手と同じ、替えの利く道具でしかない。愛を囁くのも、施しを与えるのも、関節をなめらかに動かすために油を差すようなものだった。
愛とは欲望に過ぎず、しかし欲望は生きていくための糧でもある。
満たされたいという欲望は、原始的で、単純で、人間らしい。それを恋と名付けて美しく飾り立てたところで、一皮剥けば同じこと。
その瞳に自分だけを映してほしい。
口づけて、抱きしめてほしい。
あなたの特別になりたい。
どんなに綺麗な言葉にしたところで、それは他人の心や体を侵略したいという支配欲に過ぎない。一部であれ、すべてであれ、他者を欲しがるとはそういうことだ。
(まあ、いじらしいとは思うけれどね)
潜は己に向けられる欲望を操り、利用しながら生きてきた。
それを悪行だとも恥ずべきことだとも思わない。利用するだけではなく、愛を与えて、夢を見せてやった。向けられる愛をただ拒絶してきたあの男とは違う。
「……」
目が覚めた時には日が暮れていた。
スマートフォンには千弥からのメッセージが何件も届いていた。
『大丈夫?』『元気?』『はやく帰ってきてね』
健気なものだと呆れつつ、アプリを閉じる。既読がついたことで、潜がメッセージを読んだことは伝わるはずだ。
このまましばらく寮に帰らなくてもいいかと思っていたが、この調子だと一度戻らなければ面倒なことになりそうだ。また失踪したと騒がれて捜索でもされたら、そのほうが煩わしい。
ねぐらから寮まではさほど遠くない。車を手配するのも面倒だったので、潜は歩いて帰ることにした。
外へ出ると、しんと冷たい冬の空気が頬を撫でた。墨を流したような暗い空から、ひらりひらりと白い雪片が降ってくる。傘を差すほどの雪ではなかった。地面に降り積もることもなく、すぐに融けてしまうだろう。
雪の夜は静かだ。
外の音が吸い込まれて、世界が無音になる。
(「世界中から隠れて、ピアノを弾きたいな」)
歩きながら、遠い夜を思い出す。
すべてを失うとも知らずに、ささやかな幸福に胸を躍らせていた夜。
「潜!」
名前を呼ばれて、足を止めた。
振り返るまでもなく聞き覚えのある声だ。よく通る、自信に満ちた声。それでもつい振り返ってしまったのは、思い出に浸っていたせいだろうか。
潜と目が合うと、來人は明るく笑った。早足で潜の隣にやってくる。
金の睫毛に雪が積もっているのが見えて、思わず息を呑んだ。
「おかえり。千弥が心配してたぞ」
立ち竦んだ潜には気づかず、來人は微笑んだ。昨日の晩のことなど忘れているかのような屈託のなさだ。もっと気まずそうにしていると思っていたのに。
(つまらない男)
ちらりと視線をやると、來人は買い物袋を持っていた。葱だか何だか、所帯じみた中身が見え隠れする。こんな夜中に散歩かと思えば、どうやらスーパーに出かけていたらしい。
潜の視線に気がついて、來人は荷物を掲げてみせた。
「そろそろキミが帰ってくるころだと思ってな。ラーメンの具材を買ってきた」
「僕のために作るみたいなポーズやめてくれる? 頼んでないし、僕は食べない」
心外とでも言いたげに、來人は瞠目した。
「どうして」
「逆にどうして僕が食べると思うんだよ」
この男と二人きりで話していると心底疲れる。
うんざりとした気分で、潜は寮へ向かった。
嫌がらせにキスをしたくらいじゃ、まるで割に合わない。こうやって話しかけてくるということは、それだってたいしたダメージになっていないようだし。誤算もいいところだ。
「潜の好みに合わせて、塩ラーメンにしたんだが」
「勝手に僕の好みを捏造するな」
「だが、きっと気にいると思うぞ。奮発して鯛と魚介で出汁を取って――」
「その不快なお喋りをやめないなら、もう一度キスして口を塞いであげようか」
潜が睨みつけると、來人は眉尻を下げて困ったように笑った。
「それは遠慮しておこうかな。キミとの距離は、今のままが心地良いんだ」
呆気に取られて、思わず足を止めてしまった。
どうした? と振り返る來人を、じっと見つめる。
この男はやはりどうかしている。だが、このままでは言い負かされたようで癪だ。
溜息を吐いて、歩き出す。潜を待つように立っていた來人の襟元を掴んで、力任せに引き寄せた。
そのまま唇を合わせる。
昨日よりもゆっくりと、感触を確かめるように口づけた。冷え切った唇にじわりと体温が滲んでいく。舌を入れなかったのは、そういう気分じゃなかったから。
どさりと買い物袋が地面に落ちる音がした。
ハ、と吐息で笑いながら顔を離す。ざまあみろ。
「酷い顔」
にこりと笑って、立ち尽くす男に背を向けた。そのままひとりで歩き出す。
「まったく、キミってやつは……」
ぼやくような來人の声に胸がすくようだった。
この男にとって心地良い存在になるなんてごめんだ。それなら來人の心臓に深く突き刺さるような棘でありたい。優しい思い出などではなく、いつまでもじくじくと痛む傷として、この男の記憶に残るほうがずっといい。
『愛の夢』には程遠いが、自分たちには似合いだろう。
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#まほやく
『茶葉開く親睦の時をともに』読んだ
・コラボ紅茶買わせてくれ…(通販負けそう)。
・別にこの話に限ったことではないが、他の人たちは用事があってこの8人しか集まりませんでしたはだいぶ無理がある。特に談話室じゃん…!?外に行くならともかくリスケできるやろ!
・内容はまあコラボ紅茶の宣伝回ですからね…という感じ。
・ゲームで判明する並び順で、何故ヒースを兄弟弟子で挟んだ!?というところは笑った。
・ムルさんのファウスト先生評もよかった。「好奇心がないところが面白くて好き!」たしかに!ムルの各人評は聴きたい。
・フォロワーさんにフィガロのカドストがブラフィガ(順不同)と教えてもらって読んだんだけと、確かに〜!わたしの好きなブラフィガ(順不同)はアニバ本の「施しだよ」です。
『茶葉開く親睦の時をともに』読んだ
・コラボ紅茶買わせてくれ…(通販負けそう)。
・別にこの話に限ったことではないが、他の人たちは用事があってこの8人しか集まりませんでしたはだいぶ無理がある。特に談話室じゃん…!?外に行くならともかくリスケできるやろ!
・内容はまあコラボ紅茶の宣伝回ですからね…という感じ。
・ゲームで判明する並び順で、何故ヒースを兄弟弟子で挟んだ!?というところは笑った。
・ムルさんのファウスト先生評もよかった。「好奇心がないところが面白くて好き!」たしかに!ムルの各人評は聴きたい。
・フォロワーさんにフィガロのカドストがブラフィガ(順不同)と教えてもらって読んだんだけと、確かに〜!わたしの好きなブラフィガ(順不同)はアニバ本の「施しだよ」です。
2024年11月
2024年10月
2024年9月
世界の果てまで
クラスメイツ雪風カドスト読了前提の來潜。
#エイトリ #來潜
潜は基本的に他人にペースを乱されることがない。
自分が先に、相手のペースを乱すからだ。情報を手に入れるための手駒はたくさん持っているし、相手の行動を読むのもたやすい。
それなのに、この男だけはいつも例外だった。
「……來人」
義手の定期メンテナンスの帰りにお気に入りのバーに立ち寄ると、カウンターには嫌というほど見知った姿があった。陽の光を紡いだような金髪に、すらりとした体躯。オーダーメイドのスーツを嫌味なく着こなす、いかにも貴公子然とした男。
レッスンの後、投資家としての仕事があるのだとか言っていたのは記憶していたが、まさかこんなところで鉢合わせるとは。
「潜、奇遇だな!」
トカイの貴腐ワインは諦めて店を出ようと踵を返しかけたのだが、わずかに手遅れだったらしい。無駄によく通る声で名前を呼ばれ、潜は舌打ちした。
「せっかくだから一緒に飲もう。キミが好きそうなワインもあるぞ」
「……知ってるよ」
なにせ常連だ。
はあ、とため息をついて、潜はカウンターに腰掛けた。美酒を愉しむために訪れたのだ。よく考えたら來人のせいでそれを諦めるのも業腹である。
(この男のことは無視しよう)
そう決めてカウンター席に座り、バーテンダーに「いつもの」と告げた。
わざわざ二つ席を空けたのに、來人はお構いなしだった。飲みかけのグラスを手に、潜の隣りに座り直す。およそ遠慮というものを知らない男なのだ。潜が不愉快さを隠すことなく眉を顰めてみせても、まったく気にしていない。
この店には楓や添も連れてきたことがあるし、彼らにも口止めはしなかった。
確かに他の人間に紹介してもいいとも言ったが、よりによって來人に教えたのはどちらだろうかと考えていると、來人自身があっさり犯人の名を明かした。
「潜もこの店によく来るのか? 俺は先日、添に教わって雪風と来たんだ」
添のほうか。來人との確執を察していないわけでもないだろうに。先日ワインを少し飲ませたことへの意趣返しあたりかもしれない。しかしながらワインに罪はない。不快感は美酒で流し込んでしまえとばかりに、潜はグラスを傾けた。
「いい飲みっぷりだ」
すぐによくわからない賞賛が飛んでくる。
來人のほうも既に気に入りの銘柄を見つけたようで、どうやらボトルをキープしているらしい。このバーの存在がHAMAハウス中に広まるのも時間の問題だろう。
ほとぼりが冷めるまで、別の店に通うのもいいかもしれない。
「そういえば、明日の午後空いてるか?」
「……仮に空いてたとしても、それをお前に言うと思う?」
質問には答えずそう返すと、來人は叱られた犬のような顔をした。
まさか、潜が「空いてる」と答えるとでも思っていたのだろうか。それでよくもまあ「キミのことを理解したい」などと言えたものだ。
來人は顎に手を当てて、深刻そうな顔をした。
いかにもシリアスな雰囲気だが、おそらく碌でもないことしか言わないだろうな、と潜は経験則から予想した。
「実は好きなSF小説が映画化されて、その試写会のペアチケットを貰ったんだ。それが明日の午後なんだが……」
「お前と映画なんて、絶対に嫌だね」
「だが、実話が基だと言われる地底人との邂逅がテーマの映画で――」
「どうしてその映画に僕が興味を持つと思うわけ? チィツァに振られのたなら、プルシュとでも行きなよ」
にべもなく跳ねつけると、來人はむっと顎を引いた。
「確かに、主任には出張が入ったからと断られたし、幾成にも見せてやりたいが、俺は潜と親交を深めたいんだ」
「僕は深めたくない」
それ以前に、そんな怪しげな映画を観て深まるのは親交ではなく心の溝だろう。
仮に恋愛ができる人間だったとしても初デートで振られるタイプだろこいつ、と胡乱な眼差しを隣りに向けたが、当の本人は真剣な表情で話しを続けた。
「先日、雪風と研修旅行に行ったんだが、一緒に出掛けることで相手を理解するきっかけになると学んでな」
「だから僕と出かけたら、僕を理解できるかもって?」
馬鹿らしい。
潜は肩をすくめた。呆れて、嘲笑すら浮かばない。
空になったグラスを押しやって、潜は頬杖をついた。バーテンダーが静かにグラスを片付けるのを目で追う。
「世界の果てまで二人で旅しても、お前に僕は理解できないよ」
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クラスメイツ雪風カドスト読了前提の來潜。
#エイトリ #來潜
潜は基本的に他人にペースを乱されることがない。
自分が先に、相手のペースを乱すからだ。情報を手に入れるための手駒はたくさん持っているし、相手の行動を読むのもたやすい。
それなのに、この男だけはいつも例外だった。
「……來人」
義手の定期メンテナンスの帰りにお気に入りのバーに立ち寄ると、カウンターには嫌というほど見知った姿があった。陽の光を紡いだような金髪に、すらりとした体躯。オーダーメイドのスーツを嫌味なく着こなす、いかにも貴公子然とした男。
レッスンの後、投資家としての仕事があるのだとか言っていたのは記憶していたが、まさかこんなところで鉢合わせるとは。
「潜、奇遇だな!」
トカイの貴腐ワインは諦めて店を出ようと踵を返しかけたのだが、わずかに手遅れだったらしい。無駄によく通る声で名前を呼ばれ、潜は舌打ちした。
「せっかくだから一緒に飲もう。キミが好きそうなワインもあるぞ」
「……知ってるよ」
なにせ常連だ。
はあ、とため息をついて、潜はカウンターに腰掛けた。美酒を愉しむために訪れたのだ。よく考えたら來人のせいでそれを諦めるのも業腹である。
(この男のことは無視しよう)
そう決めてカウンター席に座り、バーテンダーに「いつもの」と告げた。
わざわざ二つ席を空けたのに、來人はお構いなしだった。飲みかけのグラスを手に、潜の隣りに座り直す。およそ遠慮というものを知らない男なのだ。潜が不愉快さを隠すことなく眉を顰めてみせても、まったく気にしていない。
この店には楓や添も連れてきたことがあるし、彼らにも口止めはしなかった。
確かに他の人間に紹介してもいいとも言ったが、よりによって來人に教えたのはどちらだろうかと考えていると、來人自身があっさり犯人の名を明かした。
「潜もこの店によく来るのか? 俺は先日、添に教わって雪風と来たんだ」
添のほうか。來人との確執を察していないわけでもないだろうに。先日ワインを少し飲ませたことへの意趣返しあたりかもしれない。しかしながらワインに罪はない。不快感は美酒で流し込んでしまえとばかりに、潜はグラスを傾けた。
「いい飲みっぷりだ」
すぐによくわからない賞賛が飛んでくる。
來人のほうも既に気に入りの銘柄を見つけたようで、どうやらボトルをキープしているらしい。このバーの存在がHAMAハウス中に広まるのも時間の問題だろう。
ほとぼりが冷めるまで、別の店に通うのもいいかもしれない。
「そういえば、明日の午後空いてるか?」
「……仮に空いてたとしても、それをお前に言うと思う?」
質問には答えずそう返すと、來人は叱られた犬のような顔をした。
まさか、潜が「空いてる」と答えるとでも思っていたのだろうか。それでよくもまあ「キミのことを理解したい」などと言えたものだ。
來人は顎に手を当てて、深刻そうな顔をした。
いかにもシリアスな雰囲気だが、おそらく碌でもないことしか言わないだろうな、と潜は経験則から予想した。
「実は好きなSF小説が映画化されて、その試写会のペアチケットを貰ったんだ。それが明日の午後なんだが……」
「お前と映画なんて、絶対に嫌だね」
「だが、実話が基だと言われる地底人との邂逅がテーマの映画で――」
「どうしてその映画に僕が興味を持つと思うわけ? チィツァに振られのたなら、プルシュとでも行きなよ」
にべもなく跳ねつけると、來人はむっと顎を引いた。
「確かに、主任には出張が入ったからと断られたし、幾成にも見せてやりたいが、俺は潜と親交を深めたいんだ」
「僕は深めたくない」
それ以前に、そんな怪しげな映画を観て深まるのは親交ではなく心の溝だろう。
仮に恋愛ができる人間だったとしても初デートで振られるタイプだろこいつ、と胡乱な眼差しを隣りに向けたが、当の本人は真剣な表情で話しを続けた。
「先日、雪風と研修旅行に行ったんだが、一緒に出掛けることで相手を理解するきっかけになると学んでな」
「だから僕と出かけたら、僕を理解できるかもって?」
馬鹿らしい。
潜は肩をすくめた。呆れて、嘲笑すら浮かばない。
空になったグラスを押しやって、潜は頬杖をついた。バーテンダーが静かにグラスを片付けるのを目で追う。
「世界の果てまで二人で旅しても、お前に僕は理解できないよ」
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しばらく前にワイヤレスイヤフォンを無くして安物を買ったら音がガビガビだわ通話してると聞こえないって言われるわで結局新しく買い替えたんですが(そしてまほやくのイヤフォンは結局「まあいいか…」と見送ってる)、すごいクリアに聴こえる…!
Ankerのsoundcore P40iというのを買った。
せっかくなので(?)Scarlet Scarsのパート分け聴いてみたのですが、こんなに低音入ってたんだ…!?
ソロパートは全部聴き分けできていたことがわかったけど、ハモりはさすがによくわからなかったのでYou'er the Scarlet Scars in the dark プリモだったんかい!ありがとうございます、と思うなどしました。
Ankerのsoundcore P40iというのを買った。
せっかくなので(?)Scarlet Scarsのパート分け聴いてみたのですが、こんなに低音入ってたんだ…!?
ソロパートは全部聴き分けできていたことがわかったけど、ハモりはさすがによくわからなかったのでYou'er the Scarlet Scars in the dark プリモだったんかい!ありがとうございます、と思うなどしました。
#まほやく
ネロさんお誕生日おめでとうございます!
ガチャはダメダメでしたが…。
ホームボイス、カインが優勝かしら?と思ったらムルとラスティカも強かった。
ラスティカは何でそんなにおなして推しなんですか…?
先生はもう声が優しくてなんかありがとうございます。
晩酌してる時、手を握ったり脱いだり深夜の森に繰り出して切り株を叩いたりする酔っ払いなのおもしろすぎる。
ネロさんお誕生日おめでとうございます!
ガチャはダメダメでしたが…。
ホームボイス、カインが優勝かしら?と思ったらムルとラスティカも強かった。
ラスティカは何でそんなにおなして推しなんですか…?
先生はもう声が優しくてなんかありがとうございます。
晩酌してる時、手を握ったり脱いだり深夜の森に繰り出して切り株を叩いたりする酔っ払いなのおもしろすぎる。
#読みたい
恋愛しない私でも『源氏物語』は楽しめますか 西原 志保(著/文) - 春秋社 | 版元ドットコム https://www.hanmoto.com/bd/isbn/97843934...
もう発売してた。電子書籍なさそう?
目次見ると思ったよりセクシュアリティ寄りの本っぽい(もっと源氏物語寄りだと思ってた)
恋愛しない私でも『源氏物語』は楽しめますか 西原 志保(著/文) - 春秋社 | 版元ドットコム https://www.hanmoto.com/bd/isbn/97843934...
もう発売してた。電子書籍なさそう?
目次見ると思ったよりセクシュアリティ寄りの本っぽい(もっと源氏物語寄りだと思ってた)
月下航路事件 #エイトリ #シーズンイベント
特効65%(七基は引けてないけど雪風完凸した)でゆる〜く走って報酬SR2凸くらいのペースだった。
通常イベント報酬SRがプリモじゃなければ完走しなくていいかな〜。

【イベスト感想】
七基→主任ブレずにガチ恋やってくれるの、主任を楓さんにしてるので「同性相手でも当然に恋しますけど何か?」という態度が好ましい。
あと七基さんの音楽の才ほとんど異能レベルであるという描写に読めるんだけど、エイトリにおける天才が極端なのかもしれない。
白光さんちの双子さんは一周回ってもはや面白いな…になってきた。溺愛依存を面白がるのもあれなんですけど「これは溺愛依存ですよ!」という念押ししてお出しされるものが本当に溺愛依存なのがすごいよね。
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特効65%(七基は引けてないけど雪風完凸した)でゆる〜く走って報酬SR2凸くらいのペースだった。
通常イベント報酬SRがプリモじゃなければ完走しなくていいかな〜。

【イベスト感想】
七基→主任ブレずにガチ恋やってくれるの、主任を楓さんにしてるので「同性相手でも当然に恋しますけど何か?」という態度が好ましい。
あと七基さんの音楽の才ほとんど異能レベルであるという描写に読めるんだけど、エイトリにおける天才が極端なのかもしれない。
白光さんちの双子さんは一周回ってもはや面白いな…になってきた。溺愛依存を面白がるのもあれなんですけど「これは溺愛依存ですよ!」という念押ししてお出しされるものが本当に溺愛依存なのがすごいよね。
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#逆転検事 買っちゃった。

さすがに1はなんも覚えてないかも…と思ったけど、やってるうちに思い出してきましたわ。
2が好きなので1はサクッと終わらせたい。
1-2まで。逆検やっぱり面白い。
1-1
部屋を誤認させてマスターキーを使わせるトリック、ベタだけど好きなんだよな。
1-2
コノミチさんかわいいな。懐かしい。
縛られ御剣 良。

ユーゴーくん、タイホくんの系譜だ。
1-2は冥ちゃんの出番多かったんだった。
シラオトさんのデザイン完全にイメクラでどいやねんだけど推理パートが楽しい。逆検はロジックが綺麗なので推理ADVとしては逆裁より面白いと思ってる(逆裁は推理がメインではないから)。
そして冥ちゃんは女性の容疑者には絶対鞭を振るわないんだよなということを思い出した。
キャラ設定としては単なるフェミニストということなのだろうけど、冥ちゃんをレズビアンのフェミニストとしてクィアリーディングするのが好き。
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さすがに1はなんも覚えてないかも…と思ったけど、やってるうちに思い出してきましたわ。
2が好きなので1はサクッと終わらせたい。
1-2まで。逆検やっぱり面白い。
1-1
部屋を誤認させてマスターキーを使わせるトリック、ベタだけど好きなんだよな。
1-2
コノミチさんかわいいな。懐かしい。
縛られ御剣 良。

ユーゴーくん、タイホくんの系譜だ。
1-2は冥ちゃんの出番多かったんだった。
シラオトさんのデザイン完全にイメクラでどいやねんだけど推理パートが楽しい。逆検はロジックが綺麗なので推理ADVとしては逆裁より面白いと思ってる(逆裁は推理がメインではないから)。
そして冥ちゃんは女性の容疑者には絶対鞭を振るわないんだよなということを思い出した。
キャラ設定としては単なるフェミニストということなのだろうけど、冥ちゃんをレズビアンのフェミニストとしてクィアリーディングするのが好き。
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#ちびぐるみ を持ち運ぶケースが欲しくて、ぬいのサイズを調べたら11cm×7cm×4cmくらいだったので、無印のTPUクリアケース あたりでいいんじゃない?と思って買っといたんですが、思いのほかジャストフィットした。

ハーフサイズもあるらしくて(見かけなかったけど)1体ならハーフサイズが良さげ。
100均を彷徨しなくてすんでよかった。
※調べる→ぬいスタンド、ぬい服
#エイトリ #ぬい

ハーフサイズもあるらしくて(見かけなかったけど)1体ならハーフサイズが良さげ。
100均を彷徨しなくてすんでよかった。
※調べる→ぬいスタンド、ぬい服
#エイトリ #ぬい
#エイトリ #ぬい #ちびぐるみ
はじめてプライズのぬいを捕獲してきた記録。

1番近いナムコのゲーセンがnamco TOKYO(歌舞伎町タワー)で「競争率高いのかな…?」と震えながら行ったら開店10分前で8人くらい並んでて、店員さんに「人気商品なのでおひとり1日1個までです〜!一種だけです!」と言われて笑ってしまった。
プリモ揃えるつもりだったので終わり次第もう1軒ハシゴすることに(來人さんは保険でオンクレ天井してるから来月もう1人来るのにね)。
くぐりぬお誕生日(おめでとう!)なので潜さんから獲りに行きました。
小さい筐体の前にみちみちに並びながら(隣は夜鷹さんと凪さんだった)釣り銭ケースごと持ってきた100円玉をジャラジャラ投入し、時々店員さんに位置を直してもらう。
「ほんとに獲れるもんなの…?」と不安になりつつうっかりうつ伏せ寝になった くぐりぬの後頭部をグワシッと掴むことができて無事捕獲。
数えてなかったんだけど釣り銭がなくなったので多分4000円くらい…?

とりあえず電車に乗り、次のナムコに移動。
こちらは1種2個までだった。最初からこちらに来ればよかったぜ…。
おそらく朝一番の第一陣が去っていたので空いてて、お隣に凪推しさんがいるだけだったので落ち着いて來人さんを捕獲。
コツを掴んだかな?と思ったけど、持ち上げられてもアームが上に上がりきると衝撃でアームから落下してしまい、どうしろと…??になってた。まあでもくぐりぬよりはサクッと取れました。
せっかくなので子タろと凪も揃えたいな〜と子タろを獲りにかかる。アドレナリンが出てテンションがバカになってたんだと思う。
まあまあ大火傷したけど子タろさんを捕獲し、凪さん…と思ったものの、お隣さんがまだ凪さんに苦戦していて、ここで凪さん捕るのさすがに気が引ける…!と諦めることに。
凪さんが超人気らしいと聞いてダブってた凪さんのブロマイドを持参していたので、応援のつもりでお隣さんに1枚お譲りした。隣からいきなり「凪さんお好きなんですよね?」て声かけられてびっくりしただろうな。貰ってもらえてよかった。
あの人が無事凪さんをGETできてますように…。
こうして初プライズは無事終了。
頼むから普通に買わせてくれ。
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はじめてプライズのぬいを捕獲してきた記録。

1番近いナムコのゲーセンがnamco TOKYO(歌舞伎町タワー)で「競争率高いのかな…?」と震えながら行ったら開店10分前で8人くらい並んでて、店員さんに「人気商品なのでおひとり1日1個までです〜!一種だけです!」と言われて笑ってしまった。
プリモ揃えるつもりだったので終わり次第もう1軒ハシゴすることに(來人さんは保険でオンクレ天井してるから来月もう1人来るのにね)。
くぐりぬお誕生日(おめでとう!)なので潜さんから獲りに行きました。
小さい筐体の前にみちみちに並びながら(隣は夜鷹さんと凪さんだった)釣り銭ケースごと持ってきた100円玉をジャラジャラ投入し、時々店員さんに位置を直してもらう。
「ほんとに獲れるもんなの…?」と不安になりつつうっかりうつ伏せ寝になった くぐりぬの後頭部をグワシッと掴むことができて無事捕獲。
数えてなかったんだけど釣り銭がなくなったので多分4000円くらい…?

とりあえず電車に乗り、次のナムコに移動。
こちらは1種2個までだった。最初からこちらに来ればよかったぜ…。
おそらく朝一番の第一陣が去っていたので空いてて、お隣に凪推しさんがいるだけだったので落ち着いて來人さんを捕獲。
コツを掴んだかな?と思ったけど、持ち上げられてもアームが上に上がりきると衝撃でアームから落下してしまい、どうしろと…??になってた。まあでもくぐりぬよりはサクッと取れました。
せっかくなので子タろと凪も揃えたいな〜と子タろを獲りにかかる。アドレナリンが出てテンションがバカになってたんだと思う。
まあまあ大火傷したけど子タろさんを捕獲し、凪さん…と思ったものの、お隣さんがまだ凪さんに苦戦していて、ここで凪さん捕るのさすがに気が引ける…!と諦めることに。
凪さんが超人気らしいと聞いてダブってた凪さんのブロマイドを持参していたので、応援のつもりでお隣さんに1枚お譲りした。隣からいきなり「凪さんお好きなんですよね?」て声かけられてびっくりしただろうな。貰ってもらえてよかった。
あの人が無事凪さんをGETできてますように…。
こうして初プライズは無事終了。
頼むから普通に買わせてくれ。
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#エイトリ #カドスト
くぐりぬBDカードストーリーの話。少しだけ区ノベにも言及してる。

まあ絶対そうだとは思ってたけど、くぐりぬ完全に「職業:ヒモ」だった。
美しいことがお仕事なので筋トレでボディラインを維持するしネイルもするんだろうな。概念というかキャラ設定として『高級娼婦』なのかもしれない。とりあえず自炊まったくしたことなさそう。サロモンですら酒場で働いてたというのに…。
スクショ見返したらゆんゆんばっかり撮ってて笑ったんだけど(スクショは正直だな…)夜鷹さんの頑張りを無駄にしたくなくてアシスト決めるゆんゆんおもろい…。何者なんだゆんゆん…。ゆんゆんはくぐりぬのこと潜さんって呼ぶんだねが一番の収穫だった気もするカドスト。

千弥さんからのプレゼントのネイルセットを「ラーニ」に塗らせる発言、ラーニ=女の子なので、やっぱり潜さんは公式バイ(パン)セクなのかな〜とは思った。
潜さんわりとシスゲイのドラァグクイーン的な造形だなと思うんだけど、ちょいちょい「ラーニ」の影をちらつかせるの「ゲイではない」という目配せっぽくて、うーーーん。とりあえずゲイロマのパンセクという読みをしてるけど。
自分の世話させてる女性とセックスはしないけどネイルは塗らせてあげるゲイとかならかなり好きなんだけど多分違うだろうな。
それはそれとして太緒のことセックスの相手として本当に好みなんだろうなという感じですごい。
來人のことは別に好みとかではなさそう。
フレデリクの時もフレデリクのピアノに惹かれて恋をしたのであって、別に顔とか身体つきが好みなわけではないんだろうな。
くぐりぬそもそも誕生日に思い入れがなさそうな上(楽しい思い出がなさそう)、災害の後は神を呪って祝福を拒絶してきたのだろうけど、このカドストのタイトル『神の随に』なんだよね…。素直に取ると『神の思し召しのままに』で解釈が難しい。他人からの愛情や好意はそこまで無下にしない(できない)根は素直なひとという感じもする。

しかし七基さんがくぐりぬにここまで懐いてるのほんと何?初恋の相手とかなんです?
close
くぐりぬBDカードストーリーの話。少しだけ区ノベにも言及してる。

まあ絶対そうだとは思ってたけど、くぐりぬ完全に「職業:ヒモ」だった。
美しいことがお仕事なので筋トレでボディラインを維持するしネイルもするんだろうな。概念というかキャラ設定として『高級娼婦』なのかもしれない。とりあえず自炊まったくしたことなさそう。サロモンですら酒場で働いてたというのに…。
スクショ見返したらゆんゆんばっかり撮ってて笑ったんだけど(スクショは正直だな…)夜鷹さんの頑張りを無駄にしたくなくてアシスト決めるゆんゆんおもろい…。何者なんだゆんゆん…。ゆんゆんはくぐりぬのこと潜さんって呼ぶんだねが一番の収穫だった気もするカドスト。

千弥さんからのプレゼントのネイルセットを「ラーニ」に塗らせる発言、ラーニ=女の子なので、やっぱり潜さんは公式バイ(パン)セクなのかな〜とは思った。
潜さんわりとシスゲイのドラァグクイーン的な造形だなと思うんだけど、ちょいちょい「ラーニ」の影をちらつかせるの「ゲイではない」という目配せっぽくて、うーーーん。とりあえずゲイロマのパンセクという読みをしてるけど。
自分の世話させてる女性とセックスはしないけどネイルは塗らせてあげるゲイとかならかなり好きなんだけど多分違うだろうな。
それはそれとして太緒のことセックスの相手として本当に好みなんだろうなという感じですごい。
來人のことは別に好みとかではなさそう。
フレデリクの時もフレデリクのピアノに惹かれて恋をしたのであって、別に顔とか身体つきが好みなわけではないんだろうな。
くぐりぬそもそも誕生日に思い入れがなさそうな上(楽しい思い出がなさそう)、災害の後は神を呪って祝福を拒絶してきたのだろうけど、このカドストのタイトル『神の随に』なんだよね…。素直に取ると『神の思し召しのままに』で解釈が難しい。他人からの愛情や好意はそこまで無下にしない(できない)根は素直なひとという感じもする。

しかし七基さんがくぐりぬにここまで懐いてるのほんと何?初恋の相手とかなんです?
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#エイトリ
百目鬼潜さんお誕生日おめでとうございます!

(記念スクショ)
ところでBDリクルート対象が1人の月は当日PU回さないほうがよくない?(リクレター別カウントなので)他の月も月初に回すなら天井まで引いたほうが早い気はするけど。
確定SSRはぜんぜんすり抜ける場合があるのは8月で理解してたけど(何の脈絡もなく久楽間さんだった)今月は恒常くぐりぬが重なったので良きですわ。
BD2凸・恒常2凸を確保できたのでこれ以上は深追いしません。
正直完凸のメリットってスクラップブックで6枚使えるのとキズナ値上限↑くらいしかないから自己満足でしかない(戦力的には無凸でも困ることがない)。ガチャは常に自己満足だよ。
↓これは可愛い今のスクラップブック。

あやかしパレードのころメインスト冒頭しか読んでなくてくぐりぬノーマークだったのにガチャだけ引いてた自分に感謝
百目鬼潜さんお誕生日おめでとうございます!

(記念スクショ)
ところでBDリクルート対象が1人の月は当日PU回さないほうがよくない?(リクレター別カウントなので)他の月も月初に回すなら天井まで引いたほうが早い気はするけど。
確定SSRはぜんぜんすり抜ける場合があるのは8月で理解してたけど(何の脈絡もなく久楽間さんだった)今月は恒常くぐりぬが重なったので良きですわ。
BD2凸・恒常2凸を確保できたのでこれ以上は深追いしません。
正直完凸のメリットってスクラップブックで6枚使えるのとキズナ値上限↑くらいしかないから自己満足でしかない(戦力的には無凸でも困ることがない)。ガチャは常に自己満足だよ。
↓これは可愛い今のスクラップブック。

あやかしパレードのころメインスト冒頭しか読んでなくてくぐりぬノーマークだったのにガチャだけ引いてた自分に感謝
矢田さんの弾き語り配信いつもはほとんど聞かないんだけど(俳優さんの配信を見るのが苦手)、ラルクのHONEYを歌ったと知りそこだけ聴きに行った。
くぐりぬにもラルクカバーしてほしい〜。
練牙さんにはBUMPのカルマをカバーして欲しい(アルゴナビスを聴け)。
くぐりぬに歌ってほしいL'Arc〜en〜Cielは「花葬」です。
https://www.uta-net.com/song/10419/
くぐりぬにもラルクカバーしてほしい〜。
練牙さんにはBUMPのカルマをカバーして欲しい(アルゴナビスを聴け)。
くぐりぬに歌ってほしいL'Arc〜en〜Cielは「花葬」です。
https://www.uta-net.com/song/10419/
#エイトリ #メモ #fusetter から再掲、加筆修正
百目鬼潜 区長ノベルの時系列について
【前提】
公式サイトのキャラクター紹介画像上部に生年月日の記載あり(00年以前・生年不明の場合は99で統一)。
潜は「060930」=2030年9月6日生まれ。
メインストーリーは各キャラの満年齢が公称プロフィールの年齢になる年度=2054年度と考えてよさそう。
【区長ノベルの場所と時間】
◆場所
・欧州、ハンガリーの音大から転入したとあるのでハンガリー以外(ハンガリー内の別の音大なら前の音大を「ハンガリーの音大」とは書かない)。潜が「Nein」と答えていることからドイツ語圏かもしれない(逆にドイツ語が第一言語ではない国でとっさにドイツ語が出たという描写の可能性もあるが)
・災害に遭ったのは南欧の更に別の国(ピアノコンクール開催地)の空港。凄惨な事故?の被災地となるため具体的な場所を推定できない書き方をしているものと思われる。
◆時間
潜の区長ノベルのtrack名は災害に合った日を0日目とした日数のカウントダウンになっていると考えてよさそう。
track1「99・95」災害の99日前と95日前
track2「49」災害の49日前
track3「1」災害の1日前
track4「0」災害当日
track5「-49」災害の49日後
「99・95」は実際「レッスンの日」「週末のプロフェッサーのホームパーティ」の2日間の描写がある。
「95日前」の時点で兄弟子が「17歳だって」と言っていることから、これが誕生日前なら2048年、誕生日後なら2047年。
「49日後」の時点で「僕の十八年を」という台詞があるため、17歳→18歳になる2048年〜2049年と推定。
「1日前」が「冬の夜」なので12月と仮定すると「誕生日前の週末」は8/29(土)8/30(日)がギリギリかも。
「49日前」で母親に「来年のショパンコンクールは辞退しなさい」と言われている。「49日前」が10月中旬(ショパンコンクールの開催時間)と考えると母親から「翌年のコンクールの話題」で電話が来るのも自然な流れに思える。
ショパンコンクールは現実では5の倍数の年開催なので、コンクールの前年は2049年になるはずだが、これは潜の年齢と合わない。作中のショパンコンクールは2049年開催と考えるのが妥当か(ショパンの命日が1849年10月17日なので没後200年に合わせるため開催年をずらしているというのは有り得そうな話でもある)。
これらを勘案すると大まかな日程は次の通り。
track1 2048.08.26(水)08.30(日)
track2 2048.10.15(木)
track3 2048.12.02(水)
track4 2048.12.03(木)
track5 2049.01.21(木)
49日後ってもしかして四十九日なのか?と書きながら思ったけど、フレデリクが仏教徒とは考えにくいので、四十九日で忌明けするのは「ピアニストとしての百目鬼潜」なのかもしれない。
現世と来世の間を彷徨っていた「天才ピアニスト百目鬼潜」がピアスを空けることで完全に死者となった日。
◆災害のタイミング
track3で「空港で待ち合わせの約束をした」という事実があった上で、「それが彼を見た最後」とあるので、災害が起こったのは「潜が空港に到着してからフレデリクと合流するまでの間」つまり到着直後の空港。
この約束がなければフレデリクは1時間前に現地に到着して既に会場に向かっていたはずなので、待ち合わせをしなければフレデリクは生存していた(潜はどのみち災害に遭う)。
アドレス交換した時に「空港に着いたら連絡して」とフレデリクが言っていることから、この待ち合わせの約束を知っているのはおそらくフレデリクと潜のみ(フレデリクが親友に話していたら墓前の会話はああはならなかっただろうし)。
今となっては潜以外に知る者はなく、潜だけが「あの時に約束をしていなければフレデリクは生きていた」という秘密を抱えているのだな…(余談)。
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百目鬼潜 区長ノベルの時系列について
【前提】
公式サイトのキャラクター紹介画像上部に生年月日の記載あり(00年以前・生年不明の場合は99で統一)。
潜は「060930」=2030年9月6日生まれ。
メインストーリーは各キャラの満年齢が公称プロフィールの年齢になる年度=2054年度と考えてよさそう。
【区長ノベルの場所と時間】
◆場所
・欧州、ハンガリーの音大から転入したとあるのでハンガリー以外(ハンガリー内の別の音大なら前の音大を「ハンガリーの音大」とは書かない)。潜が「Nein」と答えていることからドイツ語圏かもしれない(逆にドイツ語が第一言語ではない国でとっさにドイツ語が出たという描写の可能性もあるが)
・災害に遭ったのは南欧の更に別の国(ピアノコンクール開催地)の空港。凄惨な事故?の被災地となるため具体的な場所を推定できない書き方をしているものと思われる。
◆時間
潜の区長ノベルのtrack名は災害に合った日を0日目とした日数のカウントダウンになっていると考えてよさそう。
track1「99・95」災害の99日前と95日前
track2「49」災害の49日前
track3「1」災害の1日前
track4「0」災害当日
track5「-49」災害の49日後
「99・95」は実際「レッスンの日」「週末のプロフェッサーのホームパーティ」の2日間の描写がある。
「95日前」の時点で兄弟子が「17歳だって」と言っていることから、これが誕生日前なら2048年、誕生日後なら2047年。
「49日後」の時点で「僕の十八年を」という台詞があるため、17歳→18歳になる2048年〜2049年と推定。
「1日前」が「冬の夜」なので12月と仮定すると「誕生日前の週末」は8/29(土)8/30(日)がギリギリかも。
「49日前」で母親に「来年のショパンコンクールは辞退しなさい」と言われている。「49日前」が10月中旬(ショパンコンクールの開催時間)と考えると母親から「翌年のコンクールの話題」で電話が来るのも自然な流れに思える。
ショパンコンクールは現実では5の倍数の年開催なので、コンクールの前年は2049年になるはずだが、これは潜の年齢と合わない。作中のショパンコンクールは2049年開催と考えるのが妥当か(ショパンの命日が1849年10月17日なので没後200年に合わせるため開催年をずらしているというのは有り得そうな話でもある)。
これらを勘案すると大まかな日程は次の通り。
track1 2048.08.26(水)08.30(日)
track2 2048.10.15(木)
track3 2048.12.02(水)
track4 2048.12.03(木)
track5 2049.01.21(木)
49日後ってもしかして四十九日なのか?と書きながら思ったけど、フレデリクが仏教徒とは考えにくいので、四十九日で忌明けするのは「ピアニストとしての百目鬼潜」なのかもしれない。
現世と来世の間を彷徨っていた「天才ピアニスト百目鬼潜」がピアスを空けることで完全に死者となった日。
◆災害のタイミング
track3で「空港で待ち合わせの約束をした」という事実があった上で、「それが彼を見た最後」とあるので、災害が起こったのは「潜が空港に到着してからフレデリクと合流するまでの間」つまり到着直後の空港。
この約束がなければフレデリクは1時間前に現地に到着して既に会場に向かっていたはずなので、待ち合わせをしなければフレデリクは生存していた(潜はどのみち災害に遭う)。
アドレス交換した時に「空港に着いたら連絡して」とフレデリクが言っていることから、この待ち合わせの約束を知っているのはおそらくフレデリクと潜のみ(フレデリクが親友に話していたら墓前の会話はああはならなかっただろうし)。
今となっては潜以外に知る者はなく、潜だけが「あの時に約束をしていなければフレデリクは生きていた」という秘密を抱えているのだな…(余談)。
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根がおしゃべりだし友達と話すのもひとの話を聞く(読む)のも好きだけど、コミュニケーションスキルに難がおありなのでSNSにちょっと疲弊してて(別に直接何かあったわけでもない)、壁打ちツールが欲しいよ〜と思ってたんだけど、てがろぐで壁打ちすればいいじゃん…。
自己解決したのでカテゴリを追加しました。
てがろぐの難点としてはALTの入力方法が不明なとこだけど、可能な範囲でテキストで補足したい。
自己解決したのでカテゴリを追加しました。
てがろぐの難点としてはALTの入力方法が不明なとこだけど、可能な範囲でテキストで補足したい。
#ブレマイ
樹帆さんお誕生日おめでとうございます!

(ガチャ画面の記念スクショ)
なけなしの石でBDガチャ回したらなぜかすり抜けで隠岐谷さんが来ました。

そんなすり抜け方ある!?
と思ったけど稀によくある。
お誕コメントは軒並み「在間さんって歳取らなそう」みたいなこと言われててちょっと笑った。
樹帆さんお誕生日おめでとうございます!

(ガチャ画面の記念スクショ)
なけなしの石でBDガチャ回したらなぜかすり抜けで隠岐谷さんが来ました。

そんなすり抜け方ある!?
と思ったけど稀によくある。
お誕コメントは軒並み「在間さんって歳取らなそう」みたいなこと言われててちょっと笑った。








壁打ちメモ帳。二次創作小説と日々の記録。
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管理人:shiori/香椎(お好きなほうで呼んでください)
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二次創作小説について
作品名とCPをタグ管理してます。CP名は管理の都合上の便宜的なものでセックスポジションにあまりこだわりはないです(強いて言えば書きやすさ重視)
#エイトリ :來人さんがAロマAセクという点は絶対譲れないので非恋愛な來潜(左右無し)。潜のことはパワーボトムだと思ってる。あとは相互不理解な練添練(リバ)あたりがたぶん好き
#まほやく :Aロマ×Aセクのカイオエ、左右自由Aスペクトラム気味な東保護者、セフレのレノフィガくらいの解釈
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